外資系に向いている人向いていない人
2022年05月07日
わたしが1990年に転職で入社した当時、会社は日本法人だけで5千人、グローバルで8万人の従業員がいました。日本に製造拠点が4つあり研究所もあった。現地法人の裁量が大きい会社でした。わたしに合っていたと思います。日本企業の場合でも一応部長になるとまあ偉いということではありますけど、その上に取締役、常務、専務、副社長、社長、会長とずいぶんと階層があって、さらに下を見ると自分が現場に乗り込んでいって勝手に決めるということもできない。実はそんなに権限がない。ところがわたしがいた会社は上がそんなにいない。わたしが日本の営業マーケティングの責任者でその上はアジア(中国、インド、韓国、オーストラリア)の責任者、それで社長だから、日本についてはほぼわたしが決定権者。加えて自分が現場に乗り込んでいく。多くの大型商談はわたしが自分でやりました。わけのわからん報告聞いているより正確で早い。通訳も自分でやった。そうなるととんでもなく大きな権限を持つことになる。やっていて面白い。ただ実績が続けばの話です。
実績が続くと長期政権になります。わたしの場合は同じポジションに10年くらいいた。その間昇進もするし給料も上がるんです。でもやることは同じ。そんなに上のポジションがないのでところてんみたいに昇進するなんて意味はないわけです。肩書きは部長で十分という感じです。そうなるとある問題が起きます。わたしの組織の人間はいつまでたっても部長になれない。もちろん給料とかジョブグレードと言って昇進はさせるんですけど、わたしがなんでも決めるという状況は変わらない。自分だってわたしみたいにやりたいと思っても、わたしがいるからできない。つまり外資系でのし上がりたいと思うなら、あまり順調で強力なマネージャがいる部署では難しいということです。傾きかけた部署の方がチャンスがある。ただそれも実力があればの話です。外資系で働いている人間は自分は実力があると信じている人間が多いです。その意味で外資系では部下との関係は日本企業以上に緊張感があります。日本だと上司を男にするのが良い仕事だなんて教わった記憶もありますけど、そんなの外資系じゃありえない。
まあ外資系に向くイメージはなんとなくわかったんじゃないかと思いますけど、外資系に向いていないって人ってどういう人でしょうか? 誰のいうことでも指示されたことを疑わずに忠実にやる人間です。もちろん結果がでる正しい指示ならやって問題はないのです。でも鵜呑みにして言われた通りにやって結果が出なかったらどうなるか? 日本の会社の常識では指示した上司の責任ですが、外資系はたいていやった人間の責任になります。いくら事故の言い訳をしても運転していたのはお前だろうという話になります。なにか失敗があれば上司も危ないこともあるけど担当者が無事で済むことはない。それと言い訳がうまく逃げ足の早い人間も外資系にはたくさんいます。一方人の言うことを鵜呑みにする人間は自分で考えていないので、たいてい言い訳も下手です。
つまり誰のいうことでも鵜呑みにする人間はだめ、かと言って強力な上司にただついていくだけでは先がない。じゃあどうする?外資系で生き抜くパターンとしてある人間が偉くなる前から見込みをつけて、ずっとついていくとか勝ち馬に乗るという方法があります。最初から旗色を鮮明にするということです。上司が出世するにつれて信頼を勝ち得て権限を移譲されるとか、あるいは自分の部下で優秀と見込んだら重用して勝ち馬に乗ってしまうというシナリオです。ちなみにわたしの上司は完全にわたしに乗ってしまいました。先見の明があったんですね。ということで自分でなんとかできそうか? あるいは優秀な人間を見抜く力がある人が外資系には向いているって思います。
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