ソウル国立中央博物館

2014年05月31日
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旅を楽しむコツ

 
朴君はわたしよりちょうど10歳年下で
ずいぶん一緒に仕事をした
現代自動車で生粋のエンジニアだった彼に
営業の手ほどきもした
彼はわたしのことを兄貴分だと思ってくれているようだ
 
その彼も韓国のジェネラルマネージャまで昇進したが
数年前からアメリカ本社が変節して地域の事情をあまり考慮しなくなり
厳しい運営を迫られ、本国と対立するケースが増えていたという
韓国は上下関係が厳しい一方で
部下からの突き上げが凄いのだ
だから上の者はどうしても部下のために戦わざるを得ない
 
その朴君は昨年7月
不適切な経理処理を指摘されて、
それを理由に退職に追い込まれた
以前はOKだったから今もOKだろうと
そう思いこんだ朴君が
甘いと言えば甘い
わたしがいた世界は半沢直樹の世界とかわりはない
国家安康 君臣豊楽 で言いがかりをつけたり
あらゆる難癖をつけて大名を改易に追い込む徳川幕府と同じである
権力はこんなせこいことするかという小細工を
まるで当り前のような顔でしてくる
権力者は決して作家にはなれまい
おかしな筋立てを真顔で押し通そうとする
 
退職に追い込まれた真の理由は
本国の本部長が従順でない朴君を追い落とそうとしたということだ
そのチャンスを伺っていた時に
不覚にも朴君は良い材料を与えてしまった
普通だったら退職にならないような案件が
異常に大きく取り上げられ
まるで大事件かのごとく扱われる
守るべき上司は知らんぷりをする
というか実は裏で糸を引いているのは
その上司たるアメリカの本部長である
 
 退職して
10か月たって彼はまだ求職中である
彼くらいのポジションになると
そうは簡単に行くところは見つからないようだ
何度か電話をもらっていた
韓国では偉かったので話を聞いてくれる人間もいないであろう
これは近々行かねばならないな
そう思っていたが先々週も電話が来た
ああ、これは行かねばいかん
そう思った
 
ということで
今回は朴君に会って、飯を食い
家族のこと、仕事のことなど話す
日本から兄貴が励ましに来たぞ
そのために一泊二日で韓国に飛んだのだ
まあ、遊びに行きたいとうのももちろんあるけどね
 
彼は大喜びで歓迎してくれた
昼はカルビ
晩は韓定食にするという
 
わたしは言った
実はカルビよりプルコギが好きなんだ
韓定食もいいけどキムチチゲの方が懐かしい
 
日本から飛んできたわたしに彼が飯代を払わすわけがない
逆に、わたしが払えば、それは韓国の弟に失礼である
ひとかどの人物なのである
 
彼は
ハルトモさんそう言えばプルコギがすきだたったなあ
なつかしそうに言う
 
もちろんわたしは、韓定食だろうと何だって食べられる
それと彼が生活に困窮しているとまでも思わないが
それでもたぶん節約はしているはずだ
 
別にわざわざ高い物を食わないでいい
昔と同じように
場末で飲んだくれりゃいいだろう
 
ということで
良く飲み良く飲んだ
 
飲んだ翌日は
韓国のお粥がおいしいね
 
韓国人は4000ウォンくらいのを頼むが
わたしはツーリストなので
アワビ粥 10000ウォン
これ旨いよ
本当に
今日は一人なんで
遠慮せずに高い物でもを食うか
 
 
韓国国立中央博物館
なんだか
雰囲気がルーブル美術館に似ている
たぶんどこかを真似たんだろう
 
大変な規模だ


1時間
マンツーマンでガイドがわたしを案内してくれた
朴さんという貿易会社の社長で
休みの日だけボランティアでガイドをされているそうだ
その朴さんが
この博物館で
ひとつと言われれば
これと言う
 
半跏思惟像
 
日本では法隆寺と中宮寺にあり
両方国宝だと
朴さんが言う
朴さんは法隆寺と中宮寺まで行ったそうだ
 
半跏思惟像は
ミステリアスな微笑みで他の仏教美術は雰囲気が異なる




 
美術館のカフェで
アイスカフェモカ4000ウォンと一緒にこのブログを書いている

日本ではオルセー美術館展をやっていることは知っていたが
韓国でもやっていた
入ろうかちと考えたが
わたしがオルセー美術館に行った時に
見たものばかりだったので
わざわざソウルで見ることもないだろうと
遠慮しておいた
 


 
博物館とか美術館とかを
見ていると
時間の流れというものが意識される
 
その一方で
わたしの前職での奮戦も
朴君の憂鬱も
 
すべて
 
夏草や兵どもが夢の後
 
幻のように思える
朴君は
きっと会社を去って良かった
そういうことになるだろうと思う
 
なぜなら彼はそう生きるからだ
 
自分で決めればよい
それが兄貴から弟へのメッセージ
電話でもメールでも伝わらない
 
百年酒と焼酎を割って
50年って言うそうだが 
その50年酒を痛飲して語り合えばすぐに伝わる
 
折しも朴君45歳ハルトモ55歳
ふたりで100歳
 
うまくできておる
人生は
 
そうやって見つけてくるのだ
どんな理屈でもいい
 
人間は自分の心の権力者たるべき
 
この権力は会社なんぞに投げ出すなんて
馬鹿げたことをして良いわけがない
 
 
 
 
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Comments 4

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ベトナム  

No title

こんばんは

ソウルも暑いですか
ホーチミンも暑いです 年中ですけど...
やっと雨期に入ってスコールのあとは少しましになってきました
アワビ粥 おいしそうですね うちの嫁さんが喜びそうな..
うちのは肉類を一切食べないので 海のものは喜びます
アワビも大好きですねえ
罪滅ぼし?に一度アワビのフルコースでも食べさせてやらにゃいかんですね。

2014/05/31 (Sat) 19:30

ハルトモ  

No title

それはホーチミンの方がきっと暑いですよ。
徳島とか行くとアワビのフルコース出す旅館ありますよね。いつだか泊まりました
まあ徳島でなくてもあるか

2014/05/31 (Sat) 23:29

ベトナム  

No title

徳島の美波町というところに いざりカフェというところがあって
そこのアワビカレーが結構有名なんです
田舎が四国なんで帰省した時にでも一度行ってみようかと思うのですが、カレーってどうなんでしょうね
アワビの味っていうより 歯ごたえしかわからんような

2014/06/01 (Sun) 00:07

ハルトモ  

No title

確かに2年前に四国一周して美波町に行きました。
カレーじゃなくて、普通に鮑食べました。
鮑のカレーって言うと、やはりカレーが勝たないようにいろいろ工夫してんでしょうね。

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