「答えではなく問題が間違っている」個人投資家にありがちな誤謬
2023年05月22日
現役時代にどこかで目にし今も記憶に残る、経営学の父と言われるピータードラッカー氏の言葉に「答えではなく問題が間違っている」というものがあります。多くの経営的失敗は間違った問題に答えを求めることで起きると彼は言います。ライバル企業の製品は常に自社の製品の売上も評判も上回っている。それで「ライバル企業に打ち勝つ製品作りのプロジェクトチーム」を立ち上げた。ありとあらゆる様々な新製品のアイデアが上がってきた。良さそうなものを製品化するのだがライバル企業の製品には勝てない。これは「どうしたらライバル企業より良い製品が作れるか」という問題が間違っているのです。「自分たちの製品、そして開発体制はライバル企業に比べて何が劣っているのか?何を改善すべきなのか?」これが正しい問題だったのです。この答えなしにいくら新製品のアイデアが並んでもライバルに勝てるものを選ぶことができないわけです。
これとそっくり同じことが多くの個人投資家に当てはまるとわたしは思っています。多くの人たちは「どうすれば儲かるか」その方法ばかりを探し、答えを求めている。しかし「どうすれば儲かるか?」という問題が間違っているのです。正しい問題は「儲けるために自分に欠けているものは何か?」なのです。儲かっている人間に比べて足りない点がないならすでに儲かっているはずです。個人投資家の10%しか勝ち組になれないのだとしたら、今自分は100人中何位なのか、10位以内に入るためには何が足りないのか?何を備えるべきか? これが最初に答えるべき問題なのです。自分なりに強みを認識してそれを磨けという言い方もできます。昔「どうしたら億り人になれますか?」と質問されて、若い私は「それを聞いているようでは難しいのではないか」と答えてしまいました。もうちょっと親切にしてあげても良かったかもしれないと今は思います。億り人になりたければたぶん千人?に一人の何かを備えねばなりません。その何かとは何か?それが自分にあるのか? まずそれを自分自身に問うことからでしょう。
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