賢いだけではこうはならない その2
2023年04月16日
賢い小学生が激しいイジメを受けながら毎月20冊本を読む。それを数年続けると不思議な能力が身についたのです。続く で終わった前回の記事の続きを書きましょう。もともと望んで入った児童養護施設でもないわけでそこで苛烈なイジメを受けた時に、わたしには本の世界がユートピアになったのです。乾いた雑巾に水が染み込むように、本の世界に尋常でない没入をしたわけです。本を読みながらリアルな映像が脳内を駆け巡ります。ローマのコロシアムで熱狂する群衆の姿が細部にまで脳内で再現され、もちろん主要な登場人物など服装から挙動からみんなイメージできる。それをずっと続けていくと不思議なことが起こりました。自分のリアルの生活がまるで本の世界のように見えるのです。わたしも登場人物で苛めてくる奴も登場人物です。その両方を見るわたしがいる。やたら冷静に相手が見える。なにせ御伽話の世界ですから。こうなってくると自分のイメージの中で相手が動くようになるのです。次はこうするなとか、こうされたらこう動くなとか、こうしてやったら泣き出すなとか。こういうことが習慣として身につくと、先生だろうが先輩だろうが、誰を見てもまあテレビドラマを見ているような気分になるのです。今は優しそうなこと言っているけどこいつはそのうち豹変するぞとか、こいつは今はつっけどんだけど実はいい人だったりがあるなとか、この人は今は約束守る気はあるけどこうなったら約束守らないなとか、なにせドラマですから。そして本を読めば読むほど、リアルをドラマのつもりで見れば見るほど予測精度が上がっていくのです。相手の心を読むのはちと違うのです。その人ならこうするなって自分で台本を書けるようになるのです。つまりその人がまだ考えていないことまで想像するのです。<続く>
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