半導体メーカーにいたわたしが半導体業界に投資をしない理由

2022年10月09日
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株式投資

わたしが長年働いた半導体メーカーは業界では老舗でノーベル賞を受賞した社員もいました。ジャックキルビーさんと言う方ですが、彼は学者ではなく会社のエンジニアでした。彼が2000年にノーベル賞を受賞した時わたしは入社10年目だったのですが実は日本でそれほど派手にお祝いした記憶がありません。記憶ではたぶん会社の状況がかなり悪かった時期だったんだと思います。わたしが入社した時は従業員がグローバルで8万人いて、日本法人も5千人ほどいて4つの工場と研究所が日本にありました。それが相次ぐ事業整理と人員整理を繰り返していた。ちょうどそんな時期だったと思います。私自身はここで書いているように自動車用のセンサーが担当でした。センサーというのは基本ふたつに分かれていてセンシング部と信号処理部ですがその信号処理部が半導体ってことです。

自分自身は半導体業界じゃなくて自動車部品業界にいたという意識でしたが、それでも半導体にはなじみはあるので株式投資対象の業界としては興味を持っても不思議はなかったのですが、わたしは半導体業界の投資は難しいのでやめておこうという結論でした。シリコンサイクルという言葉もあるようになにせ上下動が激しいのです。自分の会社でもこの前最高益を更新したとか言っていたのに今年はもう早期退職募集だとか言い出すわけです。企業努力よりも市況の変化と技術の革新でどんどん会社の状況が変わって行くのです。移り変わりが激しくて企業価値を落ち着いて弾いていられない。この前まで市場でばんばん売れていた製品がしばらくするともう要らないって言われる製品てそんなにないと思います。逆に言えば大きく伸びるチャンスもあります。でもどれだけ長続きするかはわからない。ちょっと株主泣かせの業界じゃないかなって思います。(今はよく知りませんが、、)

その一方で同じく技術の業界である自動車部品ですが、これは部品と言えど開発に数年はかかります。自動車の開発に足並みを揃えて行われるからです。自動車の開発は非常に時間がかかります。理由は評価実験を繰り返すからです。人命も絡むし政策も絡むし認可や規制もある。パッと市場に出せません。そして一度市場にでると最低で5年ほど普通は10年ほど市場に供給し続けます。巨大な開発費がかかるし金型もたくさん使いますからある程度長く使わないと償却できないのです。もっともそれが可能な背景に車は一度買えば数年は使うと言うユーザー行動があります。修理部品の供給もあって古いものでも急に要らないとは言われません。これは投資家としては調べれば調べるほど有利になる業界だなと思いました。自身も半導体よりも詳しいというのがあってそれで自動車業界に投資をしたわけです。ということでわたしは半導体業界への投資は手出し無用と思っています。今後も手を出すことはないでしょう。半導体と言っても実は色々あるのは承知の上で大雑把に言って、もしも半導体業界に投資したいけどと友人から聞かれたら、するのは勝手だけど長期保有はやめておけと言うと思います。
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