「シェアが高い」は決して好材料とは言えない

2022年03月27日
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株式投資
最近ですと脱炭素がらみでよく聞く話ですが、どこそこの企業はある分野で○%の高いシェアを持つから今後有望だとかいう話。伸びると期待される市場でシェアが高いことを好材料だと思う人が多いようです。四季報とか読んでもなんとかの成長分野では高いシェアを持つトップ企業、、、とか目を引いたりしませんか? その業界のことをよく知らずにただシェアが高いから安心して株を買えると思う人がいかに多いか? わたしはこと脱炭素関係で言うと今現在シェアが高い企業への投資はハイリスクだと思っています。脱炭素がらみでいろんな銘柄を紹介する評論家やネット発信者もいますが、かれらは決して脱炭素の専門家ではないので、今シェアの高い企業のことしか知らないからそれを紹介しているだけなのです。それを読んで同じく脱炭素のことなどますますよくわかっていない素人がなるほどと感心する。

別に脱炭素に限りません。いわゆる「技術力の勝負で顧客は企業という市場」は、市場が大きく伸びる場合、初期のトップ企業はかなりの可能性で転落します。伸びる市場には多くの企業が参入しようとします。その時にターゲットとして狙われるのがトップシェアの企業なのです。トップ企業が持つ顧客をみんな狙ってくる。企業が顧客という市場は消費者相手の商売とは違います。良いものが安い値段で出てくると一変に市場が置き換わります。そこがB to Bの怖さなのです。市場に参入する以上どこもトップ企業をベンチマークにして技術開発してくる。加えて初期のトップ企業がそんな大手でない場合は、市場がそれほど大きくないからトップでいられるという側面が大きかったりする。市場が大きくなれば、もともと技術力、資金力、サポート力で上回る大手が参入してくる。その場合はたいてい大手が勝ち切ります。伸びて大きくなる市場ほどそういう傾向になります。

加えて市場の別の力学も働きます。例えば自動車部品市場。EVがらみで注目される企業も多いです。やはり自動車業界ではトヨタがらみが話題に上りますが、トヨタに限らず自動車メーカーは一社集中で物を買うということは絶対しません。特にトヨタは火災や地震で何度も痛い目に遭っていますので二社どころか三社も当たり前です。トヨタくらい図体が大きいと仮に一社がトラブルで供給が止まった場合もう一社じゃ賄いきれない。だけど三社持っていれば残った二社でなんとかやりくりできる。ということはトヨタで最初シェアが高い企業は必ず他が参入してシェアが落ちるということです。加えてトヨタだけはいまだにグループ企業の結束を維持しています。最初使った企業がグループ外企業の場合は必ず後からグループ企業が参入して大きなシェアを占めるようになります。そういう事例をわたしはたくさん見たし実際経験してきました。 その具体例を書いてもいいのですが、、取引先も顧客もまだみんな当事者が会社にいますのであまりに生々しいのでやめておきましょう。

まあ当たり前のことですけど、シェアが高いという見えている状態はたいていすでに株価に織り込まれています。そして技術製品で企業を顧客とする場合は、市場が伸びたら同じように売上が伸びる利益も伸びると思い込んではいけません。株式投資で儲けようと思ったら、今後ゼロから立ち上げるか、あるいはシェアを伸ばす企業を見つけて投資すべきでしょう。ゼロからが一番伸び代が大きいのです。一方どんなにシェアが高くても120%にも200%にもなりません。高いところほど危ないってことです。それと伸びる市場での競合で他にも考えないといけない大きな要素があります。それがここまで読んでわかった方はかなりの目利きだと思いますがおられるかしら? 誰かわかるようであればまあ次かその次かに記事にしましょうか? 

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