NATOもEUも別にウクライナが欲しいわけではない

2022年03月03日
1
政治経済
プーチンだって人間だから自分の評判は気になる。ましてや一応政治家なんだから人気商売である。自分自身に暗いイメージがつきまとっていて西側諸国の敵、「冷徹な殺人者」というレッテルを貼られている。こう言われて気分が良いはずはない。一方自分は祖国ロシアのために戦ってきたんだという自負がある。今にして思うとエリツィンが不味かった。ソ連が崩壊した時にそのまま丸裸になって西側の企業にいいように食い荒らされた。それをロシアに取り戻したのがプーチンだからロシア人からは救世主に見えるけど西側から見ると仇役になった。西側に食い荒らされたロシアの権益を取り戻そうと必死に戦ってきた。西側よ、調子に乗るなってなもんである。プーチンはいまやロシアの皇帝だけどロシアには皇帝制が一番合っているとプーチンは思っていて、実際それは正しい。ロシアとか中国をアメリカのような民主制度にしたらどうなる? 

それは不可能ではない。ただ西側諸国が大人しく優しくロシアや中国に民主主義が育つの待ってくれればというあり得ない条件がつく。実際はどんどんと入りこんできていいように儲けられ食い荒らされる。それは見え見えである。だからロシアはプーチン皇帝が治めるしかない。だがその皇帝はロシアの旧ソ連近隣国から見たらなにやら恐ろしい存在で逆らうことは許されない雰囲気を醸し出している。そして何よりもロシアには近隣国を豊かに食わせていくだけの力がない。であれば西側につきたいと思うのは自然で、それでたくさんの国がEUに靡いてずいぶんと増えた。NATOもしかり。何もロシアに対抗して小国を西側に召し上げる気もないけど入りたいと言ってくるもの仕方ない。それを力で阻止しようとすればますますロシアから離れていくという悪循環。まあそれでも我慢してきたが、さすがにウクライナだけは譲れない。ロシア系の住民も多くプーチンにしてみるとウクライナはまさにロシアである。なにもソ連帝国の再興なんて気はないけど、ここで譲ったらロシアそのものが否定される。

さあそこでどうするというわけだけど、それは現在起こっていることである。結局プーチンは皇帝としての自意識と愛国心が強すぎるのである。24年も皇帝をやってきたので自分とロシアの境界線がなくなってしまっている。ちなみにプーチンは69歳である。この年齢を日本人はまだまだ若いと見ている人が多いけど、みんな知らないんじゃないかしら? ロシアの男子の平均寿命は70歳。もうプーチンの同級生はかなり死んでいるはずだ。自分だってあと何年生きられるかって、それは長生きしたいと思う一方で考えざるをえなくて、そういう死生観的気分というのはいろんな判断に影を落とすものである。基本的にはだんだん我慢が効かなくなる。

ウクライナの問題はロシアとNATOの二大勢力のぶつかりあいと見る人がいるけど、わたしはそうは思わない。どうみたって力の差は歴然としている。経済力は雲泥の差、武力だって核は持っているけど、それ以外は大したことなくてNATOとなんか本気で戦えるわけがない。プーチンはウクライナは持っていかないでくれと言っているだけなんである。でも頼む相手を間違えている。NATOもEUもウクライナが欲しいわけではない。ウクライナがプーチンから離れたいのである。ではプーチンが退位すれば? 上にも書いたように混乱が待ち受けている。そしてもっとも怖いのは西側の簒奪。資本主義というのは恐ろしいパワーを持っていて綺麗事を言いながら自由競争の名の下、自然と上手に搾取を行う、まさに増殖のゲームルールなのである。ウクライナが欲しいなどともおくびにも見せずに、勝手にウクライナがこっちに来たくなるようにもっていくのがたぶんプーチンが思う現代資本主義の恐ろしさというわけである。

以上まったくのわたしの憶測であくまでも読み物ですがお楽しみいただけましたでしょうか?

関連記事

Comments 1

There are no comments yet.

金田勘十郎  

ハルトモ様の深い人間洞察に敬服します。

コメント投稿

更新順
同カテゴリ