買うべき株価を算出する人たち

2022年01月14日
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株式投資
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リゾマンから望む那須連峰
一番雪が多いのが那須岳(茶臼岳)です

株式会社の企業の価値を見極めることができれば、それを株数で割れば株価が出ます。でもそんなことできるんでしょうか? わたしはそれを仕事にしている人たちと一緒に仕事というか当事者として付き合ったことがあります。ベインキャピタルという会社をご存じでしょうか? 資金量十数兆円もある世界最大級の企業買収ファンドです。最近だと東芝の件で名前を知っている人もいるでしょう。日本の会社はいくつも買ってます。わたしは現地法人ではありますけど買収される側の営業、マーケティングの責任者としてベインキャピタルが求める資料や情報を用意したのです。まだベインキャピタルが日本にない十数年前の話ですが、その中で買収する側がどうやって買収金額を見極めるのかを図らずも学ぶ機会を得ました。

専門的な話をしてもわかる人はほとんどいないと思いますので結論だけ言うと、まさに視点は企業の経営者と一緒です。ビジネスの中身を見るのです。市場性や競争力、顧客など、とことんこだわって詳細に。自分が経営するくらいのつもりで会社のビジネスを見るのです。そのまま経営できるくらいの力がある。結果わたしが所属していた事業部というかビジネスにベインキャピタルは3200億円という価格をつけました。そこらの企業分析の専門家じゃだせないプライスでしたが、ちゃんとそれで買ってその後売って儲け切りました。企業買収と言っても自社のビジネスを補完する目的の企業買収と違って、あくまでもファンドとして株主として利益をあげる買収はプロ中のプロがするもんだと感心したものです。

わたしはその当時すでにボッシュで株では成功していましたが、わたしの株式投資のアプローチとべインキャピタルのアプローチはほぼ同じものでした。それで意を強くした記憶があります。もちろんわたしは一人でベインキャピタルほど精緻には算出できません。ただわたしは企業を買うのではなく株を買うわけです。自分で値段を決めるのではなく株価は毎日プライスタグがついている。であればそのプライスタグが大きく自分の考える企業価値と乖離した時だけ出動すればいいわけです。3000億円を4000億円で買うのは大変な差ですが、株なら6000円のものが3000円で売られていても4000円でも売られていても買っておけば勝てます。

ただ他のバリュー投資家と大きく違う点があって、割安だから買うわけではありません。その価値が実際に出現するまでの時間的な目処も立てています。でなきゃいつ儲かるけ運任せになってしまう。そのためには企業の変化点と社会の認知にも気を配ります。割安な会社がさらに変化するからこそ大きく株価は跳ね上がる。実はこれもベインキャピタルは同じでした。いつか見直されるなんてのを根拠もなく待ったりはしないのです。ベインキャピタルに関わり合うことができたのはわたしにとって良い経験でした。強く自信を深めることができたからです。ただ初めて見て驚いているようじゃ凄さもわからないかもしれません。

実はその後後日談があって、わたしが別件で依頼した税理士がたまたまベインキャピタルと仕事で関わりあったことがあって、それで中国人が担当者として来たんだそうです。その人間は日本語話せない。それで通訳をつけて会話をしたんだそうですが、やたら日本の法律に詳しくて舌を巻いたって言うのです。そこらの法律家でもタジタジになっちゃうくらい。ベインキャピタルってのは凄い会社だってその税理士が言って、その後わたしの経験を話すと向こうも大いにさもありなんとうなづいた。そんな記憶も思い出されます。
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