企業や報道の発表を鵜呑みにはできない
2021年12月15日

三井ハイテックという会社が脱炭素銘柄ということかで話題になっている様子です。同社のホームページには世界のモーターコア市場でシェア70%と謳っています。でもそこには当社調べと書かれています。もしこの会社への投資を検討する投資家であればどうやって当社調べをしたのかを検証しないといけないと思います。70%というのは尋常な数字ではありません。この数字を見る限り世界中のモーターコア市場で圧倒的な存在ということになります。ただ自動車業界はプルーラルリソースと言ってリスクヘッジのため2社購買3社購買が徹底されており過渡期を除いては一社が独占的シェアを取ることは基本ないです。なにか背景がありそうな気がします。このグラフを見ても2012年からはそれほど増えていない。ではいったいどのお客にどれだけ納入しているのでしょうか?

これが日本のハイブリッド車用のモーターコアが実際どの車にどのメーカーが採用されているかの一覧表です。これは有料の調査会社の資料です。世界の一覧表もありますが、中国にも欧州にも三井ハイテックの名前はありませんでした。2012年から三井ハイテックはトヨタに採用されていますね。急激な採用展開です。結局世界シェア70%と謳ってもどうやらお客はほぼトヨタの様子です。(日産が少しあります)トヨタがハイブリッドでは世界一ですから当然です。さらにどうやらこれにはEVは含まれておらずハイブリッド社用のモーターコアの話だということが見えてきそうです。ではEVはどうなっているのか? それはまた別の話でしょうが三井ハイテックが実績はあるとは確認できませんでした。
さらにトヨタのHV用モータコアでも動きがあります。

これは上の一覧表の続きですが、最初トヨタは三井ハイテック一社だったようですが2013年に初めてトヨタ紡織も採用されています。クラウンが三井ハイテクからトヨタ紡織に置き換わっています。そして2021年のアクアのモデルチェンジでは三井ハイテックからトヨタ紡織にサプライヤーチェンジがされています。さらにヤリスもトヨタ紡織が受注しています。この流れを見る限り三井ハイテックは今後牙城のトヨタでシェア下落が予測される。たぶんトヨタ紡織が70%くらい取ってメインサプライヤーに今後なっていくんじゃないでしょうか。グループ会社がメインになるのはトヨタでは当然です。ただ2社購買ということで三井ハイテックも30%くらいは残されるのか、はたまた別のサプライヤーが登場するのか?これはまあトヨタが決めることです。ちなみにホンダは黒田精工という会社がほぼ独占ですね。これも今後どうなるか。
そういうことで世界のシェアの70%を取っているなんて書いてあっても、ほぼトヨタ一本かぶりで世界中で採用されているわけでもなさそうだし、その牙城もそのまま続くかどうかはそれこそかなり厳しい話だし、なおかつ数字の出し方にもいろいろと注文がついているわけです。企業の発表やあるいは新聞の報道も鵜呑みにしてはいけないということです。別にわたしはモータコアに詳しくなく自分が正しいと言うつもりもありません。ちょっと調べたらこうだったというだけです。また三井ハイテックに投資をするなとか言うわけではありません。こういう話はちゃんと自分で調べて理解しないと危ないですよという話です。ネットでは印象操作を意図する情報が溢れています。勝とうと思うならちゃんと自分で調べることだと思います。
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