不祥事を起こす会社と起こさない会社の違い

2021年08月17日
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株式投資
個人投資家の多くは不祥事を軽く考えている節があります。あれだけ再発防止を経営陣も誓っているんだからもうやらないだろうとか考える。わたしなどは不祥事を起こすような会社の株は買いません。内容にもよりますけど2回も明るみに出るような会社はアウトです。大きな会社ならその100倍くらいやってますよ。わたしが働いていた自動車業界では不祥事が多い代表格は三菱自動車、それから日産自動車、逆に不祥事がないのがトヨタとホンダ、一体何が違うと思いますか? いい例があります。人間というのは人が見ていないとズルをしたくなる生き物です。誰も見ていないなら立ちションをするけど、誰か見ていたらしません。ゴルフだって誰も見ていないと思うとついズルをしたくなる。いくら自分の身を正して絶対にインチキはしないぞと誓っても誰も見ていないと思うとその決心が揺らぐわけです。

ほぼ全ての自動車メーカーと一緒に仕事をしてその差を肌で感じる立場にいたものとして言えることは、三菱自動車とか日産自動車というのは、他部署の動きに対して関心が薄い会社なんです。もちろんトヨタとホンダに比べればです。それなりに他部署の動きを見ていることは見ていますけど、見方が甘くて自分の仕事だけやっていれば良いという風潮が強い、つまりインチキしてもバレないという環境がある。いくら身を正してもこれは会社の風土ですから必ずまたズルをしたくなる人間が現れる。結果を出すことを強く求められていますから余計です。一方トヨタとかホンダは仕事の進め方からして、開発プロセスの要所要所で他部署とか外部の目が入るからインチキが難しい。それはけっこう微妙なことはたくさんあるんだけど、やはり一線を踏み越えないのは、ズルをしたらバレて一生うだつがあがらなくなるという恐怖からくる自制心があるからです。

ホンダだったら技評というのがあって、開発状況を節目に報告しないといけない。ベテランの社員が評価員を勤めるんだけど揚げ足取りみたいないこともやるんです。でもやはりそのおかげでいい加減なことができない風土が醸成されている。出世に関わるんです。三菱自動車なんてその部署だけで開発が終わってしまうものなんかザラにありました。サプライヤーからすると、え?それでいいの?てなもんです。だから不祥事の数じゃなくて品質トラブルの数なんか全然違うのです。不具合の比率は軽く一桁違います。もうわたしは業界を去ってますから今はどうなっているとかはなんとも言えませんけど、社風というのは人間の性格に近いくらい変わらないものです。つまり社風を変えるというのは人間の性格を変えるくらい難しいということは理解しておくべきでしょう。個人投資家はよほどわきまえていない限り不祥事を起こすような会社の株には手を出さない方が良いと思います。他に良い会社はいくらでもあるんですから。


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金田勘十郎  

25年前、採用されたばかりの新人の頃の話です。

毎日、現場を車で回る先輩から聞いた話です。
「トヨタの車って10万キロ走っても大丈夫だけど、三菱とか日産の車って、6万キロくらいでヘコっとするんだよな。」
3社とも1300ccのライトバンでしたけど、御指摘のような努力の積み重ねが、耐久性の違いに現れてくるのではないか、と感じました。
あと、当時は何故か、ホンダの車は軽自動車ばかりが納車されて、登録車が全くなかったことを申し添えます。
失礼しました。

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