テスラという社名を不吉に感じるのはわたしだけでしょうか?

2021年01月31日
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株式投資
十数年前のことですけどテスラの社員だかクライアントが、わたしが勤務する会社のソウルオフィスに訪ねてきて会った記憶があります。わたしは日本の営業責任者としてですが韓国のカスタマーも定期的に訪問していたんです。いろんな自動車部品の調達をするために世界中を回っているとかで、我が社の製品についても説明しましたが繋がるような話にはなりませんでした。それでなんで韓国に来たんですか?日本には行ったんですかと聞いたら、日本ではほとんど相手にしてもらえなかったって言ってました。その時聞いたテスラなんて社名も忘れていましたが、数年後にああ、そう言えば確かあの時の会社だったなと思い出したわけです。実際テスラと早い時期から取引をした日本の会社もあったわけです。それが現在の生産数量からして見合う努力だったかどうかは彼らに聞けばいいことですけど、今でもほとんどの日本の自動車部品メーカーはテスラと付き合わなかったことを後悔していないと、わたしは思います。それくらいテスラとの商売はやりづらいはずです。さらにその時にテスラを助けても、それを恩義に感じて長きにわたり大切にしてくれるなんて外国の会社に期待なんかできません。デザインもどんどん変わる中であっさりと切られるのは目に見えている。当時日本の自動車部品メーカーがテスラを相手にしなかった理由は、テスラの将来性があるとは思えなかったに加えて、困った時期だけうまく利用されて軌道に乗れば捨てられるというシナリオを警戒したからだと思います。自動車の部品というのは仕様の取り交わしから供給から品質保証など、扱いが面倒でただ売ればいいという話にならないのです。

テスラのマスク氏は未来のエネルギーのあり方、モビリティ社会のありかたについて、壮大なロマンを語ります。まさにストーリーテラーのわけです。そのストーリーに賛同して夢を重ねる投資家などが大いに株価を押し上げているという側面はきっとあると思います。確かにマスク氏の言うような方向にこの世は向かっていくかもしれない。そう思わせる説得力も現実味もあります。ただその時に儲けるのは本当にテスラか?という疑問が残ります。テスラの理念だけちゃっかりいただいて他の会社が儲けるかもしれません。そんなことを考えた時にテスラの社名の由来になった、天才科学者ニコラ・テスラ氏の生涯がわたしの脳裏をよぎります。テスラ氏はエジソンと同時代の人物で、エジソンが直流志向だった時期にすでに交流の発明をして、将来は交流の時代になると予言しました。エジソンとは激しく対立します。その他テスラ氏は未来のエネルギーのあり方を壮大に語りました。そしてテスラ氏の言う通りに世の中は交流がメインになったのですが、儲けたのはテスラ氏ではありませんでした。彼はほぼ一文無しでこの世を去ったと言われています。世界はテスラ氏が予測した通りになったけど、儲けたのは、例えばエジソンとか、別の人間だったわけです。テスラ氏の壮大なロマンとその皮肉な人生が、なぜかマスク氏の掲げる壮大な理念にわたしには重なって見えます。テスラ氏が失敗した理由はいくつもあるんだと思いますけど、やはり世界をひっくり返そうとしたら世界中の既存の権益集団を敵に回すことになるのは当然と思います。支持者は喝采をあげるかもしれませんが、業界をまたぐ多くの既存の会社は消え去り雇用は失われていく。それを皆黙って看過するわけはありません。既存勢力だって生き残るために変わっていくでしょう。または新たなドリーマーが現れるかもしれません。いずれにせよこれから長い戦いが続くのでしょうが、名は体を表すとも言います。社名がテスラの未来を暗示していなければ良いのですが、妙に縁起を担ぎたくなるのはわたしも齢を重ねたからでしょうか。
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