学校では教えない計算力

2020年12月28日
2
日々の雑感ーリタイアライフ

わたしは毎日数字を扱うような仕事をしていたわけです。例えばある製品の利益率てのはいろんな要素で変動する。歩留まりが1%悪化したらコストがどれだけ上がって利益率はどうなるかとか、出荷数量が20%減ってもコストに影響はないけど、ある数字を境に急激に悪化するとか、部品がいろんな国からくるけど為替の影響がどう影響するとか、見積もりを出すときにも業績予測をするときでも、いろんな要素が複雑に絡んでくる。これを全部計算してると時間がかかる。それを処理能力の高い人間は素早く計算する。基本はまずちゃんと答えを出す。それからその数字の意味を考える。学校ではこういうことしか教えてないわけです。だから処理能力の高い人間の方が評価される。学校の成績はだいたいそうやって決まってくる。でも正確な答えはわからないけど、これはまずいとか、これならいけそうだなとか瞬時に判断する力が本当は必要なわけです。つまりどんな数字にも求められる精度があって、その精度の範囲の答えを出せばいいのなら細かい計算なんかしなくて良いのです。それより大量の数字をパッと見て判断できたほうが良い。時間はたいてい限られているし、そして計算している間にもどんどん変動していったりするわけです。

会社で、社長が東大卒だった時期があって、その東大出の社長がわたしに、こうなったらどうなる?とか質問をする。わたしがそれは大丈夫ですねと即答すると、社長がちゃんと計算したのか?て聞くのでちゃんとした計算はこれから部下にやらせますけど、だいたいで大丈夫とわかりますって、わたしが答えると、社長がそんないい加減なやり方じゃダメだ、ちゃんと計算してから持って来いっていうわけです。その間話が止まるから会議が長くなるだけ、で部下が計算してもってくるとわたしの言った通りになっていた。でも社長は自分が受けてきた教育と一致していないから、そんな考え方は認めないわけです。そんなやり方じゃいつか大きな間違えを起こすって言うのです。でもわたしも一度も間違えなかった。だって間違えそうな時はちゃんと計算するんです。ただなんでもかんでも真面目に計算しないだけ。

むしろ社長のような考え方だど、なにか異常が起きた時に瞬時に発見することができなくて手遅れになってしまうってことがある。また大きな間違いを計算してなかったという理由で見落とすことがある。だからいつも真面目に計算してろとなるけど、それじゃ働きづくめになってしまう。加えて瞬時に大きく間違えないってことがすごく大切な時が多いわけです。テストなら答えがあってなければ不正解で終わりだけど、実生活では一桁間違えると致命的ということも多くて、実は間違えるにしても間違え方というのがあるわけです。以前クイズの番組で東大生が一桁間違えて答えを出していた。わたしでもパッとみておかしいなってわかるのにその東大生は気付かないのです。テストでは一桁違っても1ちがってもどっちも0点で終わりですけど実生活ではそれで取り返しがつかなくなることもあるわけです。

例えばこういう問題はどうですか
3248円の物を13個買います。いくら用意すればいいですか?千円単位で答えてください、こういう問題を大量に出す。つまり全問終わらないのが前提。ただ間違えても2個まではいいけど、それ以上間違えるとそこで終わるとかするわけです。適当にたくさん答えてもダメということになります。

この問題だと、まず3300円を13個なら暗算ですぐに答えが出る。大きく丸める。なぜならいくらで足りるかという問題だから。33000円+9900円で42900円。でも43000円出せばいいとはならなくて、丸めた影響がある。だいたい50円丸めて13個だから650円くらいだから42900円の900円より明らかに小さいから43000円でオッケーとなる。では3248円のものが14個なら? これはまず33000円+13200円で46200円、でもまるめた影響が52円それが14個、700円以上だ。だからどうみても丸めた影響が大きいので46000円で足りるなとなるわけです。

こういうのってどこかに書いてあったり教えるところがありますか? これに限らずいろんなことをやってました。求める精度でやりかた全然変わってくる。だって財布の中が万札だけだったらまた違ってきます。答えが万単位であれば上の計算でさえ必要ないわけです。わたしがこんな話を部下にすると100%、まあ真面目に計算しますって言います。やはり長年染み付いた、まず正しい答えを出すという習慣から抜け出ることができないようです。これって学校で教わったことでしょうね。わたしもそう教わったけど、違うこと考えてましたね。




関連記事

Comments 2

There are no comments yet.

CT-1  

いつも、興味深いブログを笑読させていただいております。
大雑把な計算で瞬時に判断するという話を読んで、「ご冗談でしょうファインマンさん」の三乗根の近似値を暗算する話を思い出しました。
三乗根の答えを出す競争に、数の概念を理解していない算盤巧者よりも近似値の暗算をするファインマンが勝つという話です。理論科学者はいろんな仮説を思いつきますが、いちいち厳密な計算をして仮説の正否を判定していたら時間がかかるので近似値を使って大雑把に正否の判定を下していくそうです。ビジネスにおいての判断も似たようなものということでしょうか。即断ができる人は同じようなことをしているのかもしれませんね。

2020/12/28 (Mon) 13:24
川口晴朋(ハルトモ)

ハルトモ  

Re: タイトルなし

立派な方を引き合いに出していただいて恐縮いたします。学校教育の秀才が持つfixedな知恵でなく。動的な、まさにゆらぎの知恵かもなどと思っております。

コメント投稿

更新順
同カテゴリ