わたしが社会人になった年は非常に不景気でそれで就職戦線は冷え込んでいました。わたしも内定取り消しにあいました。ところがその後数年で急速に景気が上向いていくわけです。当時は株なんて興味もなかったけど、土地の値段の上がり方には驚きました。会社の先輩が家を買った。家に遊びに行くというのはよくやっていたことでしたが、遊びに行くと先輩が浮かない顔をしている。聞くと自分が買った値段より1千万円高く書いますという葉書がポストにいくつも入ってくるというんです。そういう話がひとつふたつじゃなくていくつも聞かれる。当時は住宅ローン金利は8%とかあったように記憶しています。そんなローンを何十年も払うよりいっそ売ってしまおうかって思うのはわかります。そういえば一人売った先輩がいました。おのちゃん。売って賃貸に住んでる、売った後もどんどん値段が上がっていくのでもう買えない。あいつは馬鹿だとみんなが言ってましたが、数年後に馬鹿と賢者が入れ替わりました。
それから自分の子どもが金融機関に就職したという会社のベテランが子どものボーナスにぶったまげたという話もいくつか聞きました。自分の数十年を嘲笑うようなボーナスが社会に出たての若者に支払われているとベテラン社員が嘆いていました。飲み会があって二次会でスナックみたいなところに上司についていくわけですが、思うところに入れるってことがまずなかった。何軒か回って、何人入れるぞってようやく入れるって感じなんです。タクシーだって捕まらないで長い行列。ゴルフだってコンペの予約を取るのが大変で取引先のコネでメンバーにお願いするというのが当たり前でした。
それですけど、その当時バブルって言葉を聞いた記憶がありません。バブルだと警鐘を鳴らしていた人はいたのかもしれませんけど、少なくとも世の中全体としてはバブルって意識はなかったと思います。つまりただ景気がずいぶんと良いという国民の認識だったわけです。景気が良いというのはこれはいろんな層に行き渡って、まあ会社が倒産して露頭に迷うなんて話を聞かない。いくらでも就職先があるわけです。ところが1978−8年とかだったと思いますが中堅の証券会社がおかしくなったとかで、それで自分がいた会社が営業マンを大量に受け入れたことがありました。なんかおかしくなってるのかな?と感じ始めた時です。わたしは1990年に転職をしました。その当時でも求人はとても旺盛でした。当時はまだ英語なんて話せないのにこれから勉強するというと、外資系の大手が採用してくれました。そういう意味ではバブルの恩恵だったと思います。でもわたしが転職して暫くすると、なんだかよくわからないけど土地から株からみんな下がったとニュースで騒いでいる。でもその当時でも株も土地も興味ない。ただ誰も転職できなくなりました。会社でわたしの後に転職を目論んでいた人間も何人も、みな転職できなくなりました。
その後結婚して子供を得るわけですが、わたしが家というかマンションを買ったのは1996年でした。転職してから6年しか経っていませんがずいぶんと世の中が変わりました。金利もずいぶんと下がって3%くらいだったと思います。さらに住宅の値段もずいぶん下がっていました。バブルの際に家を買った友人知人もいて高い金利で狭いマンションに住んでいて、わたしより何年も早く買っているのにローン残高はわたしの家より大きいのです。そういう人がたくさんいました。わたしの幼なじみは事情があって買ったマンションを売って書い直しましたけど、ずいぶんと損したと言っていました。全体の印象としてですけど、景気が良いから乗り遅れてはいけないといろいろ忙しくやった人ほど怪我が大きかった気がします。わたしなどぼんやりしてけど、ずいぶんとうまく回ったのは運なんでしょう。
こうやって書いてくると、今はバブルだとか言われていますけど、前回とずいぶん違います。まず自分でバブルだと名乗って名刺を差し出すようにバブルがやってきている。それも株だけです。不動産はもうかなり怪しくなっていると思います。それと世の中で困っている人がたくさんいる。景気がいいのは株長者くらいじゃないでしょうか。つまり株だけどういうわけかだんだか上がっていく。乗り遅れてはいけないと考える人もいるのでしょうけど、前回のバブルで結局ひどいめに会ったのは、そのノリで途中で梯子を外された人たちです。でもあまりに前回のバブルとは違うので同じようになるなどとは誰も言えないと思います。わたしは自然体でいきます。そんなに儲けなくてももう良いのです。それに高いところはやはり怖いです。乗馬もサラブレッドは怖い。高いからです。道産子なんて落ちてもなんとかなりそう。今55歳以下くらいですとバブルの思い出はないかもしれません。周りにいる60代70代の方に当時の景色を聞いてみたらいかがでしょうか? その時にこんな話を聞いたとわたしのブログの話をすると良いかもしれません。そうだなと思い出を蘇らせてくれるかもしれません。
- 関連記事
-