下品で育ちが悪いのは本人の責任ですか?

2020年11月19日
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人生の考え方
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那須山ことわたしのロッキーマウンテン
高校生の頃ジョン・デンバーが好きでした

児童養護施設で児童指導員として勤務していた4年間、何回も教会の礼拝に子どもを連れて行った。施設がいわゆるミッション系だったのである。でも施設の子どもは教会なんて行きたくない。興味もない。その気持はよくわかる。わたしだって児童養護施設の子どもだった時に、礼拝をさせられたし賛美歌も歌わされたけどやりたいなんて思わなかった。まあそれでも行くのは仕方ない。子どもたちにはこう言った。世の中に出ればもっと不自由で自分がしたいことだけをして生きている人間はまずいない。その練習をしていると思えば良い。気に食わないといちいち怒るんじゃなくてそこでも楽しむのだと。賛美歌もいい歌が多い。特にクリスマスの燭火礼拝(キャンドルサービス)で使われる曲は名曲が多い。

さて教会に行くと、他の子どもが親に連れられてきている。私立のミッション系の学校の子どもたちである。身なりも施設の子とは段違い平行棒、立ち振舞もまたまったく違う。おとなしく大人に付き従い祈りを捧げる。一方施設の子は落ち着きがなく目はキョロキョロとしてやはりその場の荘厳な雰囲気にケチをつけるような浮いた存在になる。確かによろしくないとは思うけど、子どもたちの事情を考えると強く言う気にもならない。その好対照の構図の中で、良い子の親が、施設の子に蔑むような一瞥をくれるのをわたしは見逃さなかった。もちろん子どもを私立の良い学校に行かせるような親だから、あからさまにはやらない。だが私には見える。自分が子供の頃から受けてきた視線だし、むしろその中で人の観察眼も養った。

育ちがよく品の良さを身にまとって生きている人間を、どちらかと言うとわたしは今でも好きになれない。自分の力で品が良くなったわけでもないのに、悲しい事情を乗り越えてきた下品な人間を簡単に蔑んだりする傾向があるからだ。もちろんみんながみんなそうでもないし、そして問われれば蔑むなんてしてませんと否定するだろう。だが一瞬の瞳の動きは心根を欺けない。わたしはそこを見るのである。ずいぶんな英才教育を受けたものである。子どもの頃から人の瞳を見るようになった。自分を守るためである。なにせ油断のならない大人に囲まれて育ったのである。

年月が過ぎて今のわたしがある。わたしはブログでは自分の下品さを隠さないしむしろ強調する傾向がある。決して恥ずべきものだと思っていない。むしろ誇示している。お嬢ちゃんお坊ちゃんに蔑まさせてわたしは笑っているのである。そして同時にこれはわたしのような悲しい境遇を乗り越えて生きていく人たちへの応援歌でもある。わたしのブログを読んで眉をひそめるような人間など、謹んでざまあみろである。こっちはけっこうな暮らしをしておりますぞ。家族を大切にしそして自分ができるだけの恩返しもやっている。

11月を半ばを過ぎて12月も近い。街は幸せそうなクリスマスソングであふれかえる季節だ。恋人たちのクリスマスなんてマライアキャリーの歌が毎日FMから流れる。これはこれでいいんだけど、一方で私の心に響くクリスマソングはまた違う。例えばジョン・デンバーの曲、曲名は忘れけど、こんなさびだ。Please Daddy , don't get drunk this Christmas, I don't want seeing my Mama Cry、、、ジョンデンバーは知っていてもこの曲はマニアックかしら? よろしければ探して聞いてみてください。12月になると不思議に児童養護施設の思い出がこうやって蘇ります。え、まだ早いか、でも思い浮かんで書いたものは仕方ない。取っておかずにさっさと上げます。
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Comments 6

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無言の愛読者  

はじめてのコメントです

2年前からの読者ですが、今あるネット上の記事はすべて読まさせて頂いています。
特に児童養護施設関連の記事が好きです。
今でも児童養護施設に関することをYoutubeなどで見たりするのですが、
https://www.youtube.com/watch?v=O-BiGTfrjF0
という動画を見ました。
これは21歳でホームレス、児童養護施設2歳~18歳、その間多数の虐待、自傷あり
現在は、筋ジストロフィーを患っている青年の話です。
コメント欄を読むと児童養護施設では虐待が常態化しているところが多いようなのですが
ハルトモ様の働いていた施設でも職員による虐待はあったのでしょうか。
児童養護施設で育つことの闇、悲惨さを見たので是非聞きたいと思い、
コメントさせて頂きました。

2020/11/20 (Fri) 04:46
川口晴朋(ハルトモ)

ハルトモ  

Re: はじめてのコメントです

はじめましてご愛読ありがとうございます。
ご紹介いただいた動画は駆け足で拝見しましたが、この方がそう言っているということはわかりました。ただ取材している方も裏を取っている様子がありませんね。そういうことで動画についてはなんとも言えませんが、児童養護施設で虐待が常態化しているかというご質問については、言葉通りの表現での、虐待はない思います。わたしが50年前入所していた施設でも、また働いていた施設でも、職員による虐待という言葉に相応しい行為はなかったです。真面目な職員が多いですよ。暴力とか暴言したらクビになりますしね。こういう話題は実態から遊離しやすいので、ネットの情報は十分な注意の上での閲覧をお勧めします。

2020/11/20 (Fri) 07:48

無言の愛読者  

To ハルトモさん

ハルトモ様
ご丁寧な説明の返信ありがとうございました。
さすがの観察眼と思いました。
観察眼と言えば、グッド〇ィルの折〇氏について書かれた2006年の記事については感銘を受けました。
私は一時同じ業界にいたので、折〇氏の搾取とも言えるビジネス手法については知っていました。
あれだけの急成長をしていたので、今後も続くかと思っていました。
しかし、ハルトモ様の2006年時点で見抜いていた慧眼には驚きました。
話が長くなりましたが、今後も楽しく読ませて頂きます。
ありがとうございました。

2020/11/20 (Fri) 08:14
川口晴朋(ハルトモ)

ハルトモ  

Re: To ハルトモさん

そうですか?古い記事まで読んでいただいているんですね。ありがとうございます。堀江某氏とかゴーン氏についての記述も読まれてますか? わたしの場合好き嫌いであんまり外れないのです。好悪はけっこう重要なクライテリアかも知れません。

2020/11/20 (Fri) 21:29

無言の愛読者  

To ハルトモさん

ハルトモ様
また返信ありがとうございました。堀江氏とゴーン氏について書かれたものも読んでいます。
PDFになっているものも全部読んでいます。
2005年から2011年のブログ記事にはかなりの数の秀逸を極めた記事が多いと個人的には思っていて、好きな記事はプリントアウトしてファイルしています。
中でも一番のお気に入りは、「2011年9月1日 人生は意識であり、言葉である」です。
これを読んで感銘して中村天風師の本を読み始めて「成功の実現」他6冊現在刊行されているものは全部読みました。
ハルトモ様の深い洞察力と慧眼に感服させられることが多々あり、日々ブログを読まさせて頂いています。

私は、50歳手前なのですが、ハルトモ氏のブログと出会って本当によかったです。
これにより、中村天風師の本を読み、日々、人生の信念、軸について今考えています。
先日もアインシュタインが晩年に言った言葉で、「成功の追求と、それに伴う絶え間ない不安より、静かで質素な生活のほうがより大きな幸せをもたらす」を知りました。
アインシュタインと言えば複利が有名ですが、人生を突き詰めていくと上記の言葉になるのかと思いました。
これもハルトモ様を知ってからの2年がなければ、自分の中で何も響かなかったと思います。

ハルトモ様のブログにはコメントすることはないと思っていたのですが、Youtubeの動画がきっかけでコメントしたので、
せっかくなので、このブログから受けた影響の深い感謝を書かせて頂きました。

2020/11/21 (Sat) 00:47
川口晴朋(ハルトモ)

ハルトモ  

Re: To ハルトモさん

そんな熱心にお読みいただいていたとは恐縮してしまいます。割と適当に思うところを書いておりまので。
今後ともよろしくお願いいたします。

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