大きく伸びる会社をどう見つけ出す
2020年08月10日

また鰻を食した
夏は食べたくなります
もっとも春夏秋冬美味しいけど
読者でSAMとTAMについてご存知ない方もいるかもしれません。SAMはService available Market、TAMはTotal available Marekt の略で(違う単語を当てる場合もある)、その意味を簡単に言うと、SAMというのはその会社の現行の品揃えで実際にアプローチできているマーケット、TAMは何らかの応用や変更を加えたり充実させたりすることでアクセスが可能なマーケット全体の大きさということです。
具体例を挙げてみましょう。ある産業機械市場に特化した計測機メーカーがあったとする。そのメーカーが小型化が可能なセンサーを開発した。今後産業機械市場に向けて製品を売り込んでいくとする。その場合にはSAMは産業機械市場です。ところが新開発のその技術はとても強みがあり小型化可能でコストも安い。その強みを生かして自動車用のセンサーを開発したら競争力があると思われる。同じように家電向けにも製品を開発できそうだ。その場合のポテンシャルをTAMという。
もう一例挙げてみましょう。ある社員寮の運営管理をしている会社があって、その市場では実績もあり傑出した力を持っている。その場合は社員寮の運営管理がSAMである。だがその会社のノウハウを生かすことで、今までにない効率的な宿泊施設の運営が可能で、そうなるとホテル業界でも十分戦っていけるのではないか、と思われる。そういう場合にホテルとかウィークーリマンションなどの宿泊施設全体がTAMということになって、SAMは小さいけど、実はTAMはとても大きい。その場合にはその企業は大きく成長するポテンシャルを秘めている。
このように、会社にはその会社のコアとなる強みというものがあるべきで、メーカーの場合はある技術であったり、サービス産業であればノウハウとかであったり、そのコアをもって他企業に差別化できる何かです。もしもSAMが十分大きくてかつ成長をするのであれば、本業にまず特化して高いシェアを確保する。ただマーケットは無限には伸びていかないので、今度はTAMを取り込んでさらに成長を続ける。つまり広いTAMへのアクセスが可能なコアを持っている会社が長期間成長を続けていくことが可能になる。良好なSAMと大きなTAMがセットであればかなり有望となります。
このSAMとTAMの分析は競合分析と必ずセットになります。どんなに有望なマーケットでも、敵わない強い競合相手がいれば伸びられないからです。機会があれば競合分析についても書きましょう。以上あくまでも視点という話ですが、自分が興味にある会社の強みっていったいどこにあるんだろう? それはどれだけ大きく伸びる市場にアクセス可能なんだろうか、などと考えながら企業分析をしてみるのも面白いと思います。グロース投資というと、実際に増収増益を続けている会社への投資を指すことが多いのですが、実績とはあくまでも過去の話です。できれば今後伸びる会社を買い、そして今までは伸びてきたけど今後しりすぼみが想定される会社への投資を避ける。そのためのこういう企業分析手法を使うということです。
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