企業の中長期事業計画を読み解く

2020年08月09日
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株式投資
企業が発表する長期事業計画などみても、何がポイントなのか理解して、実現可能な計画か、あるいは眉唾で絵に描いた餅か、見分けられる投資家は少ないでしょう。その理由は実際にビジネスを経営した経験のある投資家などそんなにいないからです。企業の長期事業計画を読み解くためには、株主目線ではなく経営者目線が必要なのです。幸いわたしは売り上げゼロから年商200億円のビジネスを作る中心的役割を担いました。つまり企業内起業の経験が豊富でビジネス全体を見渡す力が備わったのです。マーケティング、ブランディング、財務、技術開発、生産計画、設備投資計画、営業、など経営者なら知らないではすまされない一通りの見識、それらは株式投資において非常に役立つわけです。3年後5年後なりの企業のありようが他の投資家よりも正確に見通せるからです。

非常にアグレッシブな長期計画を組んでその計画に期待する投資家が株を買えば株価はあがりますが、それが実現しないとなれば、投資家は失望して売るわけで結果株価は下がります。その会社の長期計画には杜撰な点があり絵に描いた餅であれば、それを見破る力が欲しいわけです。逆に十分実現可能な計画を組んでいるにもかかわらず、投資家がそれを信じずに株価が反応しないこともあります。その場合は実績がでるほどに市場ではサプライズと受けとめられて、株価が上がります。しかしビジネスをきちんと見ることができる人間にとってはサプライズでもなんでもないわけです。

わたしがボッシュで勝負した時の大きな判断材料は、技術動向と市場認識、そしてグローバルボッシュとしての企業戦略でした。コモンレールという技術によってディーゼルは飛躍的に進化して。エンジンフィール、騒音、燃費、排ガス、が改善し、その販売生産量は大きく伸びることをまだほとんどの投資家がよくわかっていなかった。そのトップランナーがボッシュでした。さらにその生産拠点をグローバルボッシュとしてアジアの中心をどこに据えるか、日本ではなく例えば中国じゃないかと見る専門家もいた。確かに今なら中国かまた別のところでしょう。でもその時はさまざまな理由からボッシュジャパンであった。でもそれを見抜ける投資家はほとんどいなかった。ボッシュは日本の工場をすべて閉鎖して撤退するかもなんて噂もあったくらい。ボッシュ本社がどういう生産戦略か見抜けたからわたしは投資できた。わたしはその当時のボッシュジャパンの開発技術力と生産技術力から見て、日本が中心になると確信したわけです。あくまでもわたしが買ったのはボッシュジャパンですから。

でもダメ押しで株主総会で当時の社長、ステファンストッカー氏に直接質問をしました。彼はボッシュ本社からボッシュジャパンに派遣されていたわけですから、本社の意向を正確に知り得る立場にた。そこでわたしは直接聞かないでなんか捻った質問をした。よく覚えていないけど、アジアにおける日本の生産技術力をどう評価するとか、聞いた。直接コモンレールは日本で絶対作るのかなんて聞いても答えないと思ったから。その答えはわたしの確信をさらに強めるものとなった。たぶん確信度は日本一だったんじゃないかしら。まあボッシュで勝負したのは勘とか運とか、自分でも言ってますけど、これくらいの下地があってでの、そのまた上に勘と運が乗るわけです。でないとさすがに満玉一点勝負なんてできません。

長期事業計画を読み解き、その企業が長期的に何をしようとしてるかを一言で言うなら、どのようなマーケット認識を持ちどんなプレーヤーとし振る舞うのか、結果どれだけ売り上げを伸ばしてどれほど利益をあげたいと考えているかということです。そういう視点でまず長期事業計画を見ることです。企業の成長というのは実は二つの要素しかありません。市場が伸びるかシェアを上げるかです。シェアをあげるには新規参入や事業変更も含みます。仮に毎年10%市場が伸びるならライバル企業に対してシェアを維持していけば自分も10%伸びます。仮に自分が20%伸びたいと思えば、他所からビジネスを奪うしかないわけです。逆に伸びない市場でいろんな会社が撤退していく中であれよあれよとニッチジャイアントになるような会社もあります。市場が伸びなくても十分な競争力でシェア拡大、それも有望な戦略となるわけです。

そういうことで、まずどれくらい市場拡大(縮小)を見込むか、その中でどれだけシェアを拡大していこうとしているか。ある会社の事業計画を読むと毎年10%伸びるマーケットで毎年20%売り上げを伸ばそうとしている、としましょう。ところが事業計画では伸びるマーケットへの対応に注力したり、あるいは利益率改善を中心に業務をしていたら、じゃあいったいどうやってライバル企業からビジネスを奪うつもりなんだと聞きたくなるわけです。また伸びる市場だから利益を度外視してシェア拡大を目指すと言っていても、本当に市場はそんな伸びるだろうか?と疑問がつく場合もあります。

その会社が他社より市場の読みに強気の場合は要注意です。長期事業計画を実際作ってみればわかりますが、市場の伸びはパワーポイントの数字をちょこっといじるだけで売り上げが簡単に伸びます。シェアを奪うのは説明するのが大変です。説明するのが大変なのは実行するのも大変なのです。市場の読みの説明はなんとかなってしまいます。また安易な新規参入を目論むのも要注意です。これも戦略立案で簡単に使われやすい。本業が伸びないから、あっちにも行きますとか言うけど、そんな簡単に新規参入なんかできません。そこにもライバルがいるのです。

市場に置いてのポジショニングと差別化戦略も注目したい点です。難しく聞こえますが、具体的に言うとその企業のありようです。そしてどんなお客をターゲットにしているかです。例えば高付加価値高価格のポジションで行くのか、低付加価値低価格とか、いろいろありますが、長期事業計画と整合がとれているかです。たとえば今までは高価格だけっだったが、もう少し裾野を広げて売り上げを伸ばそうとしている。だったら利益率は同じレベル維持するのが難しいはずなのにそのあたりの施策が盛り込まれていないと、変だなとか、そうやってみるわけです。今日は長くなったし、わからん人が多いでしょうね。もっと書けるどことか舌足らずでだいぶはしょったけど、これで終わります。
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Posted by ハルトモ
自由人ハルトモ。那須とさいたまを毎週往復するリゾート&リタイアライフ、そして旅、投資ネタもありのブログです。
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