日本の独立系自動車部品メーカーへの投資について
2020年07月04日
日本にはいくつかの独立系の自動車部品メーカーがあって、高い技術力とブランド力でそれなりの地位を獲得している会社もいくつかあるけど、全体としてはとても弱い立場にあって、なんとかしぶとく生き延びているという会社の方が多い。弱い立場というのは、常にメインのサプライヤーのバックアップという立場で自動車メーカーから都合よく利用されやすいということ。
自動車部品はプルーラルソーシングと言って、メインサプライヤーに何かトラブルがあっても良いように、例えば需要全体の7割とかをメインの会社に発注して、3割とかをサブに振り分けたりする。そのサブが独立系になりやすいということ。そして需要の増減の中で、わりと損な扱いを受けるケースが多い。言うなら最初に切られやすい。市況が低迷したりすると、最初に業績が落ち込んで、一番後から回復するという立場。
また将来コアになる基幹技術などは、自動車メーカー主導でメインとなるサプライヤーと開発を進めるのが基本で、サブの会社に最初から声がかかることはほとんどない。したがって、技術開発力的にも遅れ気味で、会社の技術力もなかなか上がらない。常に互換品をいかに安く作るかに技術力を傾けることになりやすい。新システムで大きく売り上げと利益を伸ばすという展開にはならないので、業績が大きく伸びるということもあまりない。ケイレツはかなり崩れてきてはいるもののやはり、それはメインとサブで同じ扱いにはならないということです。まあたまにサブからメインにのし上がるケースもあったりはしますけど。
以上が業界に長くいてのわたしの印象で、わたしは日本の独立系の自動車部品メーカーには投資したことはないです。その会社が有望と思えるなら、もっと有望な投資先があるわけです。ただ外資系大手はちょっと扱いが違います。日本の自動車メーカーでもまるなげでシステム買いをすることもあります。あくまでも弱いのは日本の独立系ということです。個別にはいろいろありますけど、こういう業界のあり方については投資する上で知っておいたほうが良いかなとは思います。多少古い話ですので変わっている可能性もあるかもしれませんが、そんな間違ってはいないと思います。
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