デジタル複製名画の不思議

2020年05月22日
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日々の雑感ーリタイアライフ

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世界の名画で著作権が切れたものを、高精度のデジタルプリンターで出力して販売している業者がたくさんいる。ネットで名画、複製などで検索するといくらでも出てくる。エプソンのプリンターを使用しているのがわりと多いようだ。エプソンはピエゾグラフと言う。大日本印刷がやっているのはプリモアート、海外ものはジークレープリントなどと言う。他に何社かある。印刷ではなく一枚一枚出力する。高級な絵画用紙に出力したり布製のカンバスに出力もできる。

技術そのものはしっかりしたもので同じ方法で美術館所蔵の絵画を複製して、展示に使ったりもしているし、最近はアーティストでも版画の代わりにこの技術で出力したものを製品として世に出す人もいるらしい。版画みたいに枚数を限定して自分でサインする。つまり出来栄えは版画以上ということみたいだ。

作り方としてはまず原画をカメラで撮影するかまたはスキャナーで読み込む。カメラの場合は一億画素とかのものを大日本印刷は使うそうだ。それで読み込んでデータをなにやらいろいろ処理して、それからプリンターで打ち出す。美術館が所蔵する絵画については美術館の許可を得てカメラで撮影するわけだが、美術館がすでにデータを作成している場合はデータを買ってくる。大日本印刷は世界各地の美術館から直接データを購入しているそうである。値段がいくらかは知らないけど安いはずはない。

さて、ここで不思議なのはネットでたくさん出ている複製画の元データはどこから入手したものなんだろうか? 実は2−3の業者に電話して聞いてみたんだけど、どの業者もはっきりと答えないのである。もし原画を所蔵する美術館などの正規ルートで購入しているならちゃんと言うはずだから、違うということだと想像するしかない。

じゃあどうやって? 例えば市販の美術印刷の本とかをスキャンしてデータを作ったとしたらどうなんだろう?いくら高精度のスキャナーで読み込んでも元が印刷ではそれは印刷以上になりっこない。美術館のデータよりかなり画質は落ちるはずだ。だがこれもわたしの想像だが、うまいことデータ加工したら素人はほとんどわからないんじゃないだろうか? 二枚並べて比較でもすればすぐわかるものでも、その一枚しかなければ大満足というのが素人じゃないかしら? 以上邪推である。

複製画の販売業社の価格はまちまちである。大日本印刷より高いところさえある。やたら安いところもある。額装で儲けているみたいなところも多い。現物を見て買えるところは全く見つからない。まあわたしが見てもわからないだろうけど、大日本印刷のものが納品されれれば、それを基準に見ることはできると思う。気が向いたらやたら安いものを買って大日本印刷を比べてみようかと思う。

最後にデジタルプリンターは筆跡が盛り上がらないから、原画が盛り上がっていないものが向いていると思う。ゴッホとか印象派とかはよくない。その場合は中国などの模写職人に発注するという手があって、わたしも買ったことがあるけど、これはこれで品質のばらつきが激しくてかなりのギャンブルになる。それとここ10年くらいでかなり価格が高騰しているようだ。わたしが買った20年前はまだ知られていなかったのかすごく安かった。カンディンスキーの絵はパリで見てよく覚えているけど、模写よりもデジタルプリントに向いていると思う。

服とか時計とかは複製はコピーなどと馬鹿にされるけど、絵については本物が買えない以上質の良い複製画を家で楽しむのは良いことだと思う。その際には納得のいく範囲で品質も良くて値段もリーズナブルなものを選びたい。以上備忘録として記録しておきたい。また今後新しい情報を入手したら更新します。
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