わたしは現物の買いしかやってきていない。大幅にコストダウンした現物株を持っている場合に信用で売るという手はあると思っている。思惑と違ってもっと上がってしまった場合は現物を差し出せば良い。下がればまた買い戻す。そうやってやっていけばいつか現物株を売り切ることになる。ただ現物を売るより利益は大きくなると。理屈ではそうなんだけどわたしはトヨタではやらなかった。ボッシュは公開買い付けで上場廃止になったんでできなかった。
なぜやらなかったかと言うと面倒だったから。すでにボッシュとか太平洋工業とかで大きな勝負は勝ちきってきて実はトヨタはおまけだった。リーマンショックが来たんで買ってでただけである。それで十分儲かってるんだからちまちまやるのが面倒に思った。やっていて楽しくなさそう。今振り返るともしわたしが信用で売っていてもそんな大きくは儲からなかったように思う。慣れてないことをやるわけだからうまくいくわけもない。それでもいくらか儲かったとしても大した金額にはたぶんなってない。売りは株価以上儲からない。
わたしは54歳で会社を辞めてしまったけど、会社にいるいないは別として今でも専門の業界で働くという選択肢はあった。それで65歳くらいまで働けばそれこそ軽く億のお金は多く手に入るという状況であった。年金だって退職金だって違ってくる。1億じゃ効かない。でもそんな金は要らないと思った。そうまでして金を稼ぎたいとは思わない。そういう割にけっこうリッチでご機嫌な暮らしなんだけどね。
さて売りはやらない方が良いと思う理由はわたしは楽しくない、というだけではない。上に書いたように売ってもそんなには儲からないと思っている。わたしはここで何度も言っているけど、素人でも人生で株式投資でこれは絶対のチャンスだと思える時が来るからそれまで待てば良いという考えである。その絶好のチャンスというのは企業のありようが全く変わるか、または滅多に起こらない大暴落が来るか、それくらいの大きな変化に伴うものになる。その中で売りの出番はない。もし売りならそれはインサイダーになる。買いはさまざまな情報から企業が大化けする可能性を予見できるが、この会社はおかしいなと思っても売れない。確かにおかしくなるかもしれないがいつかわからないからだ。おかしい会社でもけっこう凌いだりする。
株価というのは人気で上下する。その上下の幅はいろいろだが、小型株はとんでもなくでかい。大型株になればぐっと狭い。たとえばトヨタの株価は1000円にもならないけどたぶん5万円にもならない。その中心にあるのは企業の実態である。いずれにせよ売って入った場合は実態ではなく人気の振れ幅を取ることになる。企業の変化ではなく人気の変化、つまり株価だけを見ることになるが、どんなに儲かっても株価以上は儲からない。さらに売りは絶対全力では入れない。かなりの資金管理をしないといけない。買いは状況次第だが全力で入っても行ける場面があり得る。潰れない会社なら数年待てば良いのである。損きりなんてする必要はない。なぜなら人気での株価の上下はどうでも良い。その企業の実態を見ての買いなら、実態が目論見からずれない限り撤退するシナリオにならない。
ということでもし貧乏人が株で一旗あげようと思っているなら、それは買いである。逆に一旗上げる気がないならちまちまとやる意味はない。本業で頭角を現したほうがまだよいと思う。買いなら資金を10倍20倍に増やすことがあり得る。事実わたしはボッシュで資金を数十倍に増やした。太平洋工業は3倍で終わり、これは失敗くらいである。トヨタでも数倍になったが資金量はわりとあったのでまあ成功だ。それで人生設計のありようが変わるくらい儲けた。
売りは意味がないとは言わない。テクニックを持っている資金量の多い人間が、余裕資金で回せば面白いように儲かるのかもしれないが、逆に言うとそうならないとやっていて危ないだけで一旗は上がらないとわたしは思う。なにか売りのテクニックを磨こうとする人もいるようだが、でも資金はどうする? 資金をまず増やす必要があるんだけど、そこまで資金があるなら、そんな上手に出来もしないことあくせくやらんでも、やはり買いでのんびりと良いことが起きる(多くの人には悪いこと)まで待っていれば良いとわたしは思うし、事実そうしている。
- 関連記事
-