さほど遠くに行きたくないが
2018年09月25日
オーストリアのメルクという小さな町でハンドメイドのコーヒーカップを買った。今自宅で重宝している。そういう小物が割と家にある。旅の思い出になる。
家族でヨーロッパの小さな町とか車で訪ね歩く旅行に憧れていたのだが、それはすでに2回やった。ドイツのロマンチック街道を車で南に下る旅でついでにパリも寄った。次にやったのはオーストリアをウィーンから車で回る旅でこれもついでにローマに寄った。ヨーロッパの街並みはどこを訪ね歩いても楽しいけど、でもそんな変わらないと言えば変わらない。もちろん行って良かったとは思うけど、また行きたいなとまでは強く思わない。
ビジネスマン時代はノースウェスト航空(のちのデルタ航空)で貯めたマイルがたくさんあって、それは国内外家族で旅をしまくった。250万マイル以上使ってしまった。ビジネスクラスでハワイに何度も何度も行ったとかヨーロッパもビジネスクラスで家族旅行であった。もちろん自分で買った航空券もある。あとは近場で韓国とかサイパンとか。今にして思えば、渇望するようにどこかに行きたいと思いながら働いていた気がする。どこでもいいとまでは言わないけど、どこかに行くよりも旅行に出かけることそのものが目的だった。国内旅行もずいぶんとたくさん行った。ほぼ毎月泊まりで旅行していた。
今は特にどこかに出かけたいという衝動を感じない。自宅はとても暮らしやすい。閑静な住宅街で、家の床は無垢の木で、テーブルは柔かな杉の厚い一枚板で、椅子はウォールナットで、それで上のコーヒーカップ。どこぞのカフェよりよほど落ち着ける。那須は手頃な距離で那須とさいたまを往復していれば飽きることもない。結局ゴルフをいくらやっても飽きないので那須も飽きないということかもしれない。まあこれも先のことはわからないんだけど。リゾートマンションはいつでも温泉に入れる。なかなか良いお湯で気に入っている。さいたまあたりで深く掘って無理無理出した温泉とはやはり違う。だから他の温泉に行きたいなとまでは思わない。
そんなこと言いながら結局どこかには行くんだろうなと思う。カミさんと娘で海外旅行というのもここ数年定番化していて、すでに韓国、ハワイ、ランカウイ、台湾と行っている。今年はベルギーに行くそうだ。今年は女旅行と称してお義母さん、お姉さんと一緒に豪華プライベートツアーで行くそうだ。専用のガイドを雇って自分たちだけでのんびりと回るそうである。なにせ何カ国も回るようなパックツアーとは無縁である。一生のうちにいろいろ見てみたいという気持ちはわからんでもないけど、駆け足では町の息遣いもわからない。ただ行っただけになってしまう。見るだけなら今は良い旅行番組がたくさんあるしね。
遠くに行きたいというテレビ番組が昔あって、とても好きだった。あのテーマソングも旅心をくすぐった。今にしても思えば消耗する日常の中で何か充足を求める気持ちが旅への衝動となっていた気がする。今のわたしは特段遠くに行きたいとは思わないんだけど、まあそれなりに行くことは行く。ただ現役世代にずいぶんと旅行しているのでゲップが出る気もしている。ずいぶんと贅沢な人間になったものである。
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