油断がならない老人ホーム

2018年04月29日
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マネーと生活
老人ホームで働いている人たちは優しい人が多いけど経営者管理者は油断がならない、というケースが多いと思う。

茂子さんが7年住んで退去した老人ホームの片付けに行った。荷物を全部運び出す。施設長が来て退去にあたり室内の現状回復費用の請求書を渡された。ずいぶん手回しがいい。全部でおよそ20万円。壁天井のクロス全部張り替え。床の張替え、その他である。施設長が言うには、「これは入居の時のお約束でこうなっています。」

「でもご安心ください。入居時の預かり金から清算しますので、これから支払う費用負担はほとんどないと思います。」

そうだったかな?まあわかりましたとその場は引き取って、家に帰って入居時の契約書を確認してみた。

契約書を見ると全然違うことが書いてある。

居室・付帯設備・什器などは経年変化以外の汚損破損があってかつ入居者が施設の催告にも関わらず修繕をしない場合に、その修繕費用を請求する。

となっている。7年いたから経年変化での耐久年数は過ぎているし、だいたい室内では食事もしないで寝るだけだったからどこも壊れていいない。なんの催告も受けていない。

これはどうにもおかしい。翌朝一番で施設に行ってまず室内の写真を全部撮った。揉めた場合の証拠写真だ。施設長は何時に出勤ですか?と聞くともういると言う。どうも宿直だったみたいだ。それで話すことにした。

「家に帰って入居した時の契約書を確認したんですけど、全然違うこと書いてありますよ。」

「いえ、退去の修繕については、別途規定があって。全額入居者の負担と決まっています。ちゃんとサインもいただいてあります。」

「だって、そんなこと契約書には何も書いてないし。契約書と真逆の話ですよね。その規定見せてください。」

「ちょっとお待ちください」
しばらくして
「今事務員が出勤してこないと場所がわからないです。時間がかかるかもしれません。後からFAXしましょうか?」

なんでそんなもん時間がかかるんだ?応接室で待つと答える。
10分ほどして施設長が戻ってきた。

「ああ、すみません。茂子さんは7年前に入居されてたんですよね?」
何言ってんだ? 昨日自分で6年9ヶ月だって言ってたじゃないか?

「実は5年前に規定が変わっておりまして。5年前以降のお客様からは全員全額ご負担いただくことになったんです。茂子さんは対象外みたいです。」

「じゃあ、わたしがサインしたというのは?」

「ありません。この契約書だけです。わたしの勘違いでした。」

と契約書を開く。わたしが持っているものと当然同じだ。

「じゃあ、契約書どおりやってください。それ以外やりようはないでしょう?」

「そうだとは思いますが、わたしの一存では決められないので本部に相談して連絡します。」


勘違いだとかミスだとか、苦笑いしながら言うけど。会社でやっていること、これはミスじゃないなとわたしは思う。請求書にはいくつかハンコが押してある。そんな大きな変更を施設長から事務員からみんな忘れているはずがない。本部に相談なんてしないんだろう。

たぶん請求したらほとんどの人間は素直に支払いに応じるのである。わたしのように気がついて言ってきたら、ミスだとか勘違いだとか言い訳して返金に応じるという作戦であろう。全国展開の老人ホームだからこれを全国でやれば年間いくら儲かるか?
想像に難くない。

だいたいその新規定とやらもかなりいかがわしい。老人ホームは入居退去が激しい。部屋はほとんど汚れない。入ってすぐ出る人も多い。その度に床から壁から天井から全部張り替えるわけがない。そうやって何度も何度も使いまわして請求して儲けるという作戦なんであろう。

この会社は茂子さんが入居した時はそれほど大きな会社ではなかったが、この数年で急拡大している。経営方針が変わったということであろうか?なんにせよ、油断がならないけど、知らないで払った人はなんにも思わないわけだ。

この世は搾取搾取だとこのブログで書いているけど、気持ちよく搾取される人は搾取されているという感覚がきっとないんだろうと思う。だから案外気持ちよく搾取される。その方が幸せということだろうか?


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