徳川作の歴史はつまらん

2017年05月21日
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旅を楽しむコツ



荒れ果てた佐和山城



佐和山遊園




安土城天守跡から琵琶湖方面を見下ろす



ランチで京都のラーメン、ギトギトなんだよね。


琵琶湖一周を達成した翌日、幼なじみを琵琶湖界隈の観光に案内した。わたしが以前訪れておすすめという場所をトレース。わたしのお勧めは敗者の歴史である。勝者の歴史は自分に都合良く書き換えて、箱は立派で宝物たっぷりということで一般観光客は喜んで回るのかもしれないが、わたしには何の面白味もない。琵琶湖界隈でその最たるものは国宝彦根城とその博物館。井伊は徳川家のサラリーマン。今でも井伊の子孫は彦根城の館長で地元の名士である。

その彦根城の目と鼻の先に佐和山がある。佐和山は石田三成の居城で全盛時は彦根城どころではない規模を誇ったが石田三成が滅んだ後には完璧に歴史から消し去られた。それが今の時代にまで続いている。何故かと言うと、この佐和山は清涼寺というお寺の私有地になっている。そして清涼寺は井伊家の菩提寺である。おわかりになるだろうか? どんなに映画や本で石田三成が騒がれようが、佐和山城跡は絶対に開発されない。井伊家の息のかかった清涼寺の持ち物だからである。数百年と長きにわたり意地悪を続ける。徳川譜代筆頭の井伊家面目躍如である。

佐和山には何もない。ただの山の小径が続いているだけである。清涼寺が私有地だから入るなと看板を立てているが、だがこれだけの歴史的な遺産を私有地と言う理由で荒れ果てさせている。日本の権力構造のせこさと、ある意味いまだに徳川家のサラリーマン魂を貫いているのかと、それはそれで感心するから、ある意味それも一興とも言える。

ということで彦根城などはパスして佐和山を案内。佐和山の道を挟んで向かいに佐和山遊園、佐和山美術館があるというかあった。今は閉鎖されて入場禁止。石田三成が井伊家の意地悪もあって不当に扱われていることを良しとしないある金持ちが莫大な私費をつぎ込み城と美術館を築いたのであるが、その金持ちも今や没落して維持できなくなっているのである。なんと売りに出ている。わたしが数年前に訪れた時には中に入れたが、今は施錠され入れない。ここの一種独特の雰囲気を醸し出す歴史?の穴場である。佐和山の向かいだから寄る価値はある。

その後安土城に。安土城も数百年もの間捨て置かれていたスポットである。信長が死んで、その後数百年荒れ放題であった。発掘が始まったのが昭和に入ってから。これもまことに興味深いスポットである。一時間半ほどかけてゆっくりと上がりそして降りた。信長がみたであろう景色をかなり趣が違うとは言え同じところから見るのはよき脳内旅行である。なぜ趣が違うかと言うと今の安土城の前には田園が広がっているがこれが戦後琵琶湖を埋め立ててしまったからである。信長の時には琵琶湖湖畔に壮麗な城が建っていた。そして琵琶湖越しに大津が見えその先は京都。信長はきっと京都方面を眺めていたことであろう。

安土城に天守から少し下がったところに信長は本丸御殿を建てた。なんの為かと言うと天皇をそこに招待するためであったと言われいる。誰もが瞠目する天守のその下にある御殿に天皇を迎えようと信長は画策したのか? その画策が事実かどうか別として、明智光秀によって命を絶たれる。日本のヒエラルヒーを根底から覆そうとした信長を光秀は正義感から討ったという説をわたしは取る。一般にはサラリーマンの逆ギレが謀反の理由と言われているがそれではつまらない。光秀はそんな軽い男ではないとわたしは思う。心知らぬ人は何とも言えば言え、身をも惜しまじ名をも惜しまじ、という彼の辞世の句が心に響く。

その後、浅井長政の居城、小谷城址へ。ここは以前にも詳しく書いたから割愛するが、かつての浅井長政とお市の方、そして三姉妹が暮らした居館の後はやはり閑散として訪れる人は少ない。

そして姉川の合戦の古戦場を訪ね、その後関ヶ原の古戦場に。それぞれの武将の陣取りと戦での振る舞いを改めてなぞり彼らの心持ち類推する。関ヶ原の合戦の時、徳川家康は59歳、わたしとほぼ同い年であるので感慨もひとしお。

関ヶ原から静岡で友人を降ろしてそのままさいたまの拙宅まで一気に帰った。二泊三日で1100キロを走りきった。いや違うな自転車の170キロを加えて1270キロ。よく走った旅であった。
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Comments 2

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あかさたな  

No title

静岡から埼玉まででも相当ありますよね?お一人で運転されたのですか?

2017/05/22 (Mon) 19:41

ハルトモ  

No title

そうです。一人で運転しました。尾道だって車で行きました。

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