私はブレーキ、トランスミッション、それからエアコンに明るくてエアバッグは詳しくない。エアバッグ用のセンサーは手がけていなかったからだが、それでも基本的な知識と業界事情は心得ているので、ちと解説してみよう。
日本の自動車メーカー各社が相次いで今後タカタのエアバッグを使わないと決めた。とまあ一口で言えばそういう報道がなされているが、この意味を理解できる投資家は少ないだろう。言い方はいろいろある。
1、今後開発する車には採用しない
2、今後発売する新型車には採用しない。
3、現在販売中の車も他社製に切り替える
3と言っているのはホンダだけ。だが歯切れが悪い。容易なことではないからだろう。1と2では1が多いが、これだと今後の開発だから3-4年かけてゆっくりと切り替わる。自動車メーカーというのはだいたい3年先の車を今開発している。来年発売のものなんてもう最終試験とか認証の問題で今から替えるなんてできない。ましてや現在販売している車まで部品を買えるなんてさてどうするんだろう?修理交換市場との整合も取らねばならない。莫大な手間と金がかかる。どの自動車メーカもやりたくない。だから今後採用しないなどと発表して消費者には納得してもらおうと考えているのだろう。早速明日から切り替わると勘違いするのは勝手だ。
さてエアバッグを採用しない、切り替えると一言で言うが、実際はそうは言っていない。具体的には一体何を採用しないのか?エアバッグというのはいろんなパーツが組み合わさっている。
1、センサー
2、インフレーター
3、バッグ本体
4、コントロールユニット
さてタカタは何をどこに供給しているか? だいたい2と3だろう。今回採用しないと決めたのは硝酸アンモニウムを使用したタカタのインフレーターである。センサーやコントロールユニットまでは替える必要はない。バッグ本体とインフレータの関係は私は詳しくないが、多分インフレータだけ替えることは可能だと思う。インフレータとバッグの値段は私は知らない。調べようと思えばだいたいわかるが、パッと見るにバッグの方が高いと思う。
タカタは今後硝酸アンモニウムを使用しないインフレータを増やすと言っているし、インフレータだけダイセルとか外から買ってくることもできる。だからインフレータを替えて依然としてタカタはエアバッグサプライヤーの一次業者としてのポジションを維持できれば、売り上げは減らないということになる。利益がどうなるかはまた別で当面外から買えば利益は下がるが長期的には内製するんだと思う。
エアバッグのインフレータのビジネスの影響がどれほど利益的に大きいか? そこはタカタの売り上げ構成も見る必要がある。仮に経営が傾くほどのインパクトがあった場合、タカタが供給しているシートベルトまで供給が止まれば自動車業界は立ち行かないから、自動車メーカ各社でシートベルトの採用を増やすとか値段を調整するとかで救済を行う可能性もある。(事実過去に行っている)
話は終わってないが、、、宿直明けてこれからお出かけだ。一旦キーボードを閉じる。(ペンを置くとは言わないね、、)
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