わたしの仕事だ

2013年01月11日
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児童養護施設のこと
読売新聞に児童養護施設の特集が出たそうだ
友人からその記事について電話があった
児童養護施設に暮らす子供たちは全国で4万人近くいるそうだ
もちろん、子供たちは好き好んで児童養護施設に来ているわけではない
 
一言で言えば
親がまともに育てられないから児童養護施設に住むしかないのである
まともでない理由はいくつもある
貧困、病気、虐待、劣悪な環境、教育放棄、ネグレクト
などなど
 
子供たちには何の責任もないが、
その親について言えば
首を傾げざるを得ない親が多い
いろんな親がいて、いろんな事情があるが
一番酷いな、と思うのは
面会、外泊など一切せずに
子供を完全に遮断してしまう親だ
施設や子供側から連絡しても電話にでも出ない
もちろんかかっても来ない
手紙を出してもなしのつぶて
まるで子供が邪魔で
忘れているかのようだ
 
そういう親がどういう生活をしているか
想像するしかないが
あまり好意的な想像はできない
 
親からそういう仕打ちを受けて
子供がどんな気持ちになるかまじめに考えたことなどないだろう
はっきり言ってそういう親なら
まだ親が死んでいるほうがましである。
死んでいる親なら
その親は子供たちの心の中で生き続けることができる
多少の美化もあるだろう
 
だが生きていてろくでもない親であれば
それは冷徹な現実として
子供たちは受け止めざるを得ない
またそういう親に限って
年老いたとか、また一人になったとかで
自分が寂しくなると
子供子供と言い出して
頼ろうとするケースもあると言う
まこと身勝手である
 
わたしのケースでは
わたしが養護施設に入った時
わたしの両親はまだ30代前半であった
人間としてはまだかなり未熟で
(その後熟したかどうかは言わないが)
自分のことで頭がいっぱいの人たちであったのだろう
 
わたしが児童相談所に保護された時に
わたしは犬のナナと一緒に住んでいた
母親は離婚していない
父親が朝味噌汁を作ってでかけて、夜遅くまで帰ってこない
わたしはその味噌汁を自分で温めて
冷たいご飯にかけて
半分はナナ、半分はわたしが食べるのである
学校は好きで元気よく通っていた
ナナもよく学校に連れて行った
 
なんと家が貧乏すぎてかテレビがなかった
もちろんゲームなんてあるはずない
わたしは毎日毎日
夜遅くまで本を読んでいた
学校の図書館の本を読みつくすくらいの勢いで
一冊の本は一晩で読んだ
だから小学生で月に20冊とか本を読んでいた
本をこれだけ読んでいると
勉強なんかしなくても勉強ができた
もともとIQは非常に高い子供だったので
理解力が高かったのだ
わたしが本に育てられたと自分で言う所以である
 
もちろん今のわたしは親を怨む気持ちなどさらさらない
そんなものはとっくに超越している
だから親の面倒を、親どころか養母や伯母まで面倒みる
困っている人がいて
わたしを頼っていて
わたしが助けられるなら
それは助けるべきだからだ
 
さて、今のわたしは児童養護施設で働いている
大人の職員が言っていることと
子供が言っていることがもし違っていたら
わたしは子供の言うことを取る
大人より子供言うことを信じるようにしている
 
子供というの大人をだますものだ
子供はたくさん親をだまして成長していく
騙されても騙されても信じてあげるのが親というものだ
 
施設で働く大人たちは子供から騙されるのを嫌う
それを叱り是正しようとする
やはり親ではなく先生なのである
 
わたしは先生をする気はない
親の代わりにも決してなれないが
騙されてあげることはできる
わたしが信じてあげないと誰が信じてあげるのか
 
大人はわたしが言うことを信じなくても
腹を立てるだけだろう
わたしのことを悪く思われても、それは仕方ない
クビにはならんようにうまくやりたいが
 
わたしがどう思われようと
わたしは子供の言うことを信じるし
仮に嘘だと思っていても騙されてあげる
いつか子供は大人になって気づくかもしれないし
気づかないかも知れないし
それもどうでもよいことだ。
 
それが今のわたしの仕事だと自分で信じて
それを実行する
そういうことだ
 
 
 
 
 
 
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Comments 4

There are no comments yet.

アユ  

No title

子供との接し方とても参考になります。

2013/01/12 (Sat) 08:25

ハルトモ  

No title

素人ですし、自分の子供とも違いますね。笑

2013/01/12 (Sat) 10:58

Kiyoshiroo  

No title

「騙されてもだまされてもーー信じてーー」すごい、そのとおりです。いつか子どもにもわかるかもーーです。

2013/01/12 (Sat) 12:59

ハルトモ  

No title

自分の納得でもあります。

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