確定申告の時期である。相場師はどうやら自分で申告している人間が多いような印象を受ける。売買記録だけで申告できるからさほどの事務量にはならないのだろう。
一方不動産投資家はもちろん自分でやっている人間もいるが税理士を使っている人間の方が多数かな、いう印象だ。こと確定申告について言えば大家のほうが複雑である。知人で一棟もののマンションを保有している人間がいて税理士を使っていて20万円ほど払っていると聞いて自分でやるべきだとアドバイスしたこともある。国立一期校の最高学府を出ているのだから、自分の頭を少しは使わないと勿体無い。
個人でも税理士を使うメリットというのもある。税理士を通して申告した場合は、税務署から目をつけられにくい。税理士さんなんだからちゃんとやってるんでしょ、ということである。
税理士は税務署との交渉にも長けている。サラリーマンであるわたしでも税務署が入って修正申告させられたことがあるが、その時は税務署との窓口に税理士を使った。税理士のおかげでうまく事が運び、どうなることかと思ったが確か100万円くらいの追加納税で済んだ記憶がある。
税理士の専門性もあるが、人一人入るというメリットは大きい。自分のことを代弁する人間が自分の利益のためにいるといろいろやりやすい。弁護士など良い例で、直接だったら到底できないような主張が弁護士を通すと可能となったりする。弁護士は依頼者の欲の部分だけを代弁するからで、恥とか面子とかはどこかに行ってしまう。いわゆる、よくそんなこと言えるな、ということが弁護士は言える。しょせん自分のことではないからだ。
わたしの場合はここ10年ほど確定申告はぜんぶカミさんがやってくれている。高学歴のでこの程度のこと簡単だ。かみさんは技術士という専門資格を持っていて、わたしと結婚した時には、いやゆる高収入キャリアウーマン。結婚後しばらくは仕事を続けていたが、金儲けはハルトモにさせておけば良いとすぐに気づいてさっさと専業主婦になってしまった。やはり頭のよい人間は違う。人を上手に使う。
技術士というのはいろんな分野の技術士があって、かみさんの専門の技術士はピンキリで言えばピン、試験が難しくまたその資格がないと官庁から仕事を請け負えない。今でも週に一度ほど来てくれればという条件で月20-30万円の仕事はあるのだが、かみさんは緊張するし面倒だから嫌だ、とやらない。かみさんももう金のことはどうでも良いのである。
税理士、弁護士、技術士、と士の話題が続いたが、わたしが勤務する児童養護施設にも士がつく人間が多い。保育士とか心理士である。保育士はいるとは思っていたが、心理士というのはどういう仕事なんだろう? わたしが施設にいた頃はいなかった。どうも最近児童養護施設に置かれるようになったそうで、子供の心理ケアをするのが主な役割ということだが、わたしがいる施設では、心理士は子供の処遇を含めて施設の運営のほぼ全てに関与して大きな影響力を行使している。もっとも現場に入って子供と直に接触していないので隔靴掻痒の感は否めない。わたしはこの職場に来て、園長も心理士も、もっと現場を知るべきであると何度も主張してきているが、まあわたしのいうことなどここではなんの影響力もないのは当たり前。なにせわたしには士がつく資格が何もないのである。なんのお墨付きもない人間の言うことなど重みはない。
言うなれば、わたしは士ではなく師である。相場師、車券師、勝負師、ぐっと響きが下品になる。士と違いこちらの師はなんのお墨付きもないし人様にどうのこうのはない。ただただ一人で儲けるがよろしいという孤独な存在である。わたしは寂しがり屋のくせにこういう孤独なポジショニングを好む。生い立ちが影響していることは間違い無いだろうが、そのわりに組織で30数年ちゃんと泳ぎきる(泳法はともかく)という柔軟性もあるわけで、けっこうハルトモ君はなかなかの複雑系であるな。われながらおもしろい。
P.S.
師と言っても格調高い師もいる。医師とか、本来の意味ではたぶん士より師が上位であろう。
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