わたしの投資スタイル
わたしの投資スタイルにも分割してこの拙文を掲載している。わたしなりの投資に対する考えを自由に書かせてもらったが、投資の書庫のはじめの方に投資とギャンブル(競輪など)の相関についても触れて言るのであわせて読んでいただければ、わたしの馬鹿さ加減がよくご理解いただけると思う。
ボッシュオートモーティブはこの3年ずっと注目し続けていて、何度か売買をして利益をを出させてもらっている会社だ。今でも株主である。
この会社は以前はゼクセルと言った、その前はヂーゼル機器という名前だった。そのヂーゼル機器の時代から取引先として、この会社をよく知っているが、よくみんなまじめに働くなあという印象だ。
自動業界にいる人たちは押しなべてよく働く、その中でも特にまじめによく働くのがここの社員だと思う。バカまじめと言ってもいいくらいだ。ただ自動車業界というのは独立系として生き残って行くのはきわめて難しい業界なので、業績はずっと尻すぼみだったが、ボッシュの傘下に完全に入って(もともとボッシュの影響下だったのだが)、ようやく方向性が定まったと言える。ボッシュの世界戦略の日本での忠実な実行部隊として日本の自動車業界でのポジションが得られたのを見たのと、ディーゼルの新燃料噴射システム、コモンレールの時代が来たのを見て、わたしはこの会社に投資することに決めた。ここでは長くなるので書かないが、おなじ業界にいるビジネスマンとして、この会社ののことは十分に研究した。
大学で学んだ経営分析は役にたつ。財務諸表が読めるというのは株式投資では強いと思った。
そのときは株価は130円ほど、赤字会社だった。 このあたりはギャンブラー風投資スタイル、株は素人だが、ビジネスマンとしてはエキスパートの自負がある、そのビジネスのエキスパートがこの会社は必ず復活すると確信したので、そこに集中投資した。分散したところで、ほかの会社は確信もないのだし、リスク分散したことにもならない。ギャンブラーとして学んだことは、十分な根拠のもと自分が確信ずるものだけに集中投資すること。
これが初めての株式投資、まず130円でわたしとカミさんのそれぞれの口座で購入したが、株はそれからどんどん下がって行った。130円が120円、110円、そしてとうとう100円も切った。わたしはというとその下げの中、ますます買い進んだ。さらに90円、80円、感心するくらいよく下げる。カミさんはこの会社が潰れるのではないかと心配して、大丈夫かと言う。わたしは答えた。「株価がなぜ下がるのか、よくはわからない。市場全体の動きもあれば、局面局面での投資家の思惑もあるだろう、信用売買のテクニカル的な反応もあるようだ。ただ間違いなく言えるのは、この会社の事業そのものは決して株価ほど悪くなっていない、むしろ復活に向けて確実に改革が進んでいる。よくなっている会社の株価が下げているなら、これは買いだ」
わたしはこれは千載一遇の大チャンスだと思った。それでも株価はどんどん下げていく、80円、75円、70円をついに切る、いまわたしの取引記録を見ると60円台で相当買っている。わたしはこの会社にほとんど全財産(金融資産のみだが)を投入した。 いくら信じているとは言っても、さすがのわたしも不安がないといえばうそになる。60円台の時に売ればすでに相当の損失である。
ただ立ち直れないような額ではない。自宅はすでに自分のものだし、給料は人並み以上に稼いでいるのだから、、、同年配のサラリーマンから見ればまだ恵まれているほうだ。このあたりがギャンブラーとしてのバランス感覚である。無理して押し込まれた体勢で勝負すれば、自滅すること多いというのも、ギャンブルの鉄則である。 勝負事というのは局面で勝つ負ける以前にこの体勢づくりが重要である。これを判断するには、自分を客観的にみる視線が必要である。客観的にいま勝負している自分がどう見えるか? 勝ちモードに入っているか、負けモードに入っていないか、これの基本を手っ取り早く勉強するいい場所はパチンコ屋、スロット屋である。競輪場も競馬場もいいが手軽とはいかないかな。
パチンコ屋に行けば、いろんな人間がパチンコをしている(当たりまえだ)、ここでよく人間観察をすると良い。みんなパチンコ台に集中しいるので、こちらがしげしげと見ていても気づきもしない。勝負にいい形で集中している人間、勝負どころでインライラしている人間、負けてあつくなっている人間、負けすぎて帰ることもできず、ただへらへらと負けを増やしている人間、これが変化していくさまをよく観察して、負けていく人間のとる態度、勝つ人間のとる態度、よく勉強したらいい。表情しかり、タバコの吸い方、ひとつ違うはずだ。そして自分が負け犬のような態度をとらないようにすればいい。これは実に重要なことだ。これがわかるとビジネスの場面でもずいぶん役に立つ。
この続きはまた。
ちなみにこの会社の株は、わたしはその後2度売って、2度買い戻すことになる
買い集めたボッシュAJの株は素人投資としては、なかなかの数量となった。どれくらい買ったか具体的には言わずにおくけど、サラリーマンの感覚で言えば、かなりたくさん、と言えると思う。これくらい買うと(どれくらいだ!)、この株がかわいく思えてもくる。毎日毎日株価とこの会社に関する情報、決算情報、売り買いの記録など、チェックした。大事なのは毎日、入念にである。これを一年も続けて行くと、少なくとも、このボッシュAJの株に限っては、なにやら勝負する者たちの息使いまで聞こえてきそうなくらい、感受性が高まってくるのがわかる。どういうニュースにどう株価が反応するのか、売り買いしている連中の思惑は何かなど、だんだん見えてくるような気がする。
ボッシュAJはドイツの会社の子会社で、売り上げのうち、相当部分は本国への逆輸出でユーロが占めている。ドルでの輸出はほとんどないのだが、どういうわけかドルの上下に反応する。売り買いしている連中は外資系なのか自動車関連だからか、ドル安、円高ならボッシュAJに逆風と見ているようだ。馬鹿な連中だが、これで株価が動く。(そのほかにもいろいろ興味深いことを発見したが割愛しておく。)
わたしは思った。「どうやら、このあたりは競輪と本質は変わらない。へたくそな連中のおかげでわたしが儲かるわけだ。」 競輪は数千人、またはせぜい2-3万人の投票でオッズが決まる。参加者、みなが上手であれば、オッズは正当な配分になる。つまり10回に一回おこることなら、倍率は10倍、そこから25%胴元が抜いて、配当は7、5倍ということになる。これではいくらやっても面白みもなく勝てるわけはないが、へたくそな連中がオッズにゆがみを与える。つまり実際に起こりうる期待値より、大きかったり、小さかったりするオッズが現れるわけだ。10回に一回おこる事なら、7.5倍のはずなのに20倍ついていたりすることがある。 玄人はここを衝くわけである。こういう車券を丹念に調べて拾っていくわけである。もちろん地道な研究があっての上である。
その後、しばらくするとボッシュの業績ががどうやらいい方向に向かっているようだというのが、いろいろと記事になってでてくるようになってきた。ただそれも大きなニュースは言えなかったが、2002年当時の円安が追い風になった。 自動車関連はのきなみ上げた時期があり、ボッシュも遅ればせながら、するすると上げてきた。両方の効果か、株価は連日の上昇につぐ上昇、harutomo67君(わたしのこと)、ご機嫌な状況が続く。とうとう株価は200円を超えた。
ただわたしは毎日株価をチェックしながら、考えていた。どうも、今買っている連中は、本当のこの会社の将来を買っているとは思えない。信用残も大きく変動して、素人目にも投機的な動きであると思える。必ずゆり戻しがくる、200円は、どうも、今のこの時点としては、わかっていない連中が押し上げた株価だから、近いうちに必ず彼らはいなくなる。
そう感じたわたしは、持っているボッシュAJの株の大半を190円ー200円で売ってしまった。これが、まさに大成功だった。はっきり言って、ついていたと思うが、、その株価は急速に下げたのである。この会社の将来を信じているわたしは、悠然と130円付近で、すべて買い戻したと言うか、買い増したのである。
わたしはこれと同じようなことを、もう一度550円ー350円でやった。まさに株の息遣いを肌でつかんだ賜物だが、このあたりは動物的勘であり、知的なみなさんがやられるような仕業ではないと思う(笑)。毎日集中していれば見えてくることもあるのである。
わたしが株を始めた時に、わたしはボッシュAJの話を多くの友人にした。友人で多少購入して、いくらか儲けた人もいるがそれでも大した利益でなかったように思う。人が少々薦めるくらいでは大勝負などできるはずもない。自分が本当に確信するのとはずいぶんその投資姿勢に差がでると思う。また知り合いはわたしが大言壮語していると思っていた人もいた。こうして勝利を手にしたあともついているだけだと思っている人が多いのではないかと思う。 それでいいのである。強いギャンブラーはみな強運だといわれるが、それはそう見えるだけである。
わたしは株を始めたからボッシュAJを買ったのではなく、ボッシュAJがあるから株をはじめたのである。
わたしは競輪でも知り合いからほら吹きと言われた。みなわたしより、ずっと経験が長く競輪の知識豊富な連中である。彼らから見ればなぜわたしが勝つかわからない。事実的中させるだけなら彼らの方が当てるのある。しかし、手を広げて、当たったといっても儲けがしれているなら買わないほうがいい。いくら手を広げて買っても、当たらない事の方が多いのが競輪。はずれれば何も帰ってこないのだから。このあたりをよく理解して実践できるかどうかが勝負をわける。
会社でもわたしはほら吹きだと笑われていた時期があった。わたしが責任者を務める製品の売り上げは10年間でゼロから年商100億円になった。一個1000円ほどのものだから今年は1000万個売れる。いまや年に30億円の利益があがる優良商品である。すでに3年くらい先まで注文が入っているので、2008年には年商200億円確実である。 大きな会社なのでほかの事業部はよく知らないが記録的というか歴史的成功と言われている。今では誰も笑えないし、ついていただけだとも言われないが(事業の責任者であるからだろう)、わたしのやり方でここまでくるとは誰も信じてくれなかった。最初はたった一人で売り歩いたのである。カタログさえ自分で作った。設計技術者も一人、ふたりだけのチームだった。
ギャンブラーは決して一時の成功に浮かれない。強いギャンブラーはみな臆病だと思う。自分が信ずるものにすべてをかける胆力があるが、その信ずるものが、はかないこともよくわきまえている。
ボッシュAJは成功したが、次々とこんな成功は望まない。今はかなり手堅い運用で様子を見ている。つぎの大勝負は当然スケールも大きくなる、十年先でも十分であるので、ゆっくり待つつもりである。
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